会社法 株式会社の設立 その4

会社法52条~ 出資財産等の発起人の責任

 

・現物出資した財産の価額が本来出資すべき価額より著しく不足する場合(52条)

出資した発起人(又は設立時取締役)は連帯して不足分を設立した株式会社へ支払う義務を負います。ただし、検査役の調査を受けていた場合は免責となります。(現物出資者は免責となりません。)

著しく不足をしていたにも関わらず、問題がないとの結果を示した検査役は価額が不足している現物出資をした発起人(現物出資者)と連帯して支払い義務を負います。この場合、その他の発起人は常に免責です。

現物出資を行った発起人以外の発起人は、注意を怠らなかったことを証明した場合は免責となります。ただし、募集設立の場合は、注意を怠らなかったことを証明したとしても、免責にはなりません。

 

・発起人が株式会社に出資にかかわる払い込み又は給付(現物出資)を仮装した場合

 出資を仮装した発起人は仮装した出資金(現物出資による給付を含む)の支払いの義務を負います。

出資の仮装に関与した者(その他の発起人、設立時取締役)も連帯して支払いの義務を負うことになりますが、その職務を行うにあたり、注意を怠らなかったことを証明した場合は、免責となります。

出資を仮装した発起人は、仮装した出資金の全額を支払わなければ設立時発行株主の権利を行使することができません。また、他の発起人は期日(期日の2週間前に通知)を定め期日までに支払いがない場合は、仮装出資した発起人は設立時発行株主としての地位を失います。なお、仮装出資した発起人から株主としての権利を譲り受けた者は仮装出資について善意であれば、設立時発行株主としての権利を行使できますが、悪意又は重過失であった場合は権利を失います。

 

仮装した出資金全額を支払った場合、その支払われた金銭はその他資本剰余金として計上されます。

※その他資本剰余金…資本取引よって発生する資本準備金(貯金)以外の会社のお金のこと。

※資本取引…株式の取引や借入、社債の発行等の会社の営業によらない取引のこと。