会社法 役員の選任、解任 その2

会社法332条 取締役の任期

 

・取締役の任期の計算法

例として、公開会社であり、指名委員会等設置会社、監査当委員会設置会社以外の取締役の任期は「選任後、2年以内に終了する事業年度の最終のものに関する定時株主総会終結の時まで」とされています。

4月1日~3月31日を事業年度とする会社の場合、決算月は3月なので、3月31日まではその年の事業年度内となります。(4月1日が基準日となるため、4月1日から3か月以内に定時株主総会を開催する必要があります。大体の会社は6月頃。)

すなわち、3月30日に就任した取締役は3月31日を起算日とするので、「3月31日の1日間で1年度分を計算に入れる」ということになります。

下記に具体例を示します。なお、定時株主総会は6月1日とします。

21年3月30日に就任した取締役の任期は、21年3月31日~22年6月1日の定時株主総会終結時までです。(21年3月31日を1年目、21年4月1日~22年3月31日を2年目として計算)

21年3月31日に就任した取締役の任期は、22年4月1日~24年6月1日の定時株主総会終結時までです。(22年4月1日~23年3月31日を1年目、23年4月1日~24年3月31日を2年目として計算)

起算日によって、任期が約1年変わってしまうことになります。

以降の記載について「〇年」とあるものは「選任後、〇年以内に終了する事業年度の最終のものに関する定時株主総会終結の時まで」の「〇年」を指すこととします。

 

・指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社以外の取締役の任期

公開会社の場合は2年、非公開会社の場合は2年~最大10年

株主総会の決議又は定款によって、短縮可能です。非公開会社の場合における任期の伸長(2年以上にする変更)は定款によってのみ定めることができます。(株主総会決議は不可。)

 

・監査等委員会設置会社の取締役の任期

①監査等委員である取締役

公開、非公開問わず2年

株主総会の決議又は定款によって、短縮できません

②監査等委員でない取締役

公開、非公開問わず1年

株主総会の決議又は定款によって、短縮可能です。

 

・指名委員会等設置会社の取締役

公開、非公開問わず1年

株主総会の決議又は定款によって、短縮可能です。

 

・定款の変更による任期のみなし伸長

株主総会の決議又は定款によって短縮されている取締役の任期について、定款を変更し、任期を伸長するに至った場合は、現任の取締役の任期も特段の事情がない限り、伸長されます。

ex)取締役の任期1年と定められていた会社が任期2年とする定款変更を行った場合、自動的に現任取締役の任期が1年伸長される。

 

・任期満了の特則

下記の定款変更を行った場合は、変更の効力が生じたときに取締役の任期は満了となります。

①監査等委員会又は指名委員会等を設置する旨の定款変更

②監査等委員会又は指名委員会等の設置を廃止する旨の定款変更

③非公開会社を公開会社とする旨の定款変更

ただし、③については、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社である場合は、任期満了となりません。