会社法 取締役 その6

会社法361条 取締役の報酬等

 

・取締役の報酬等(361条・2021年3月1日改正施行)

取締役の報酬は、定款に定める又は株主総会で決定することで決められます。改正により、取締役の報酬は会社の募集株式又は募集新株予約権で支払っても良いことになりました。定款又は株主総会で定める取締役の報酬に関する事項は以下の通りです。

①額が確定している場合、その金額

②額が確定していない場合、その算出方法

③報酬として募集株式を割り当てる場合は、その数と上限(報酬として割り当てる条件を付すことができます)

④報酬として募集新株予約権を割り当てる場合は、その数と上限(報酬として割り当てる条件を付すことができます)

⑤募集株式、募集新株予約権の払い込みに充てるための金銭

⑥金銭でないものを報酬とする場合は、その具体的な内容

募集株式を報酬とする場合、「一定の事由が生じるまで他者に譲渡しない」「一定の事由が生じた場合、株式を会社へ無償譲渡する」等の条件付けができます。募集新株予約権を報酬とする場合、さらに細かな条件付けができます。(株式はすでに株式そのものが持つ権利・条件等が決まっていますが、新株予約権はそのものの権利・条件を株式とは別に定めることができるため。)

上記の事項を改定する議案を株主総会に提出した取締役は、その理由を説明する必要があります。

 

・監査等委員会設置会社の場合

監査等委員会設置会社の場合、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役の報酬を区別して定める必要があります。

監査等委員である取締役の報酬が決まっていない場合、上記①~⑥の条件の範囲内で監査等委員である取締役の協議によって決定されます。監査等委員である取締役は、報酬に関し、意見陳述権が認められています。

 

・報酬の決定方針の決定義務

①公開会社かつ大会社で有価証券報告書の提出義務のある監査役会設置会社

②監査等委員会設置会社

上記①・②に該当する会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く)個人別の報酬等の決定方針を定める必要があります。すでに取締役個人別の報酬等を定款又は株主総会で定めてある場合は、改めて定める必要はありません。

具体的には個別の報酬額や業績に連動した報酬額、金銭以外の報酬等について、取締役会が決定しておく必要があります。