会社法 取締役会 その4

会社法370条~ 取締役会の決議、議事録

 

・取締役会の決議の省略(370条)

取締役が取締役会で決議すべき事項の提案を行った場合において、取締役の全員書面又は電磁的記録により同意の意思表示を行った際は、当該提案について、可決の決議があったものとみなす旨を定款に定めることができます。

定款に定めなければ全員の同意があったとしても、取締役会で決議しなければなりません。また、取締役全員の同意があった場合でも、監査役監査役設置会社のみ。)が提案に対し異議を述べた場合は可決の決議があったものとみなすことはできません。

 

・議事録等(371条)

取締役会の議事録は10年保管義務があります。保管場所は本店です。

株主は取締役会の議事録の閲覧又は謄写を請求することができます。(紙媒体・電子媒体問わず。)

ただし、会社に監査役等が設置されている場合は、裁判所の許可を得なければ閲覧又は謄写の請求を行うことはできません。(監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社の場合。)

株主が閲覧、謄写請求をすることで、対象会社、子会社、親会社に著しい損害を与える恐れのある場合は、請求することはできません。

 

・特別取締役(373条)

取締役会の決定により、特別取締役を3名以上選出することで特別取締役の多数決で「会社の重要な財産の処分、譲り受け(購入、売却)」「多額の借財」を行うことができます。特別取締役による議決の定めは定款によって定める必要はありません。取締役会の決議によって定められます。(ただし、特別取締役による議決の定め及び特別取締役の氏名は登記事項です。)

本来、会社の重要な財産の処分、譲り受け、多額の借財は取締役会の決議がなければ行うことはできません。しかし、特別取締役に一定の決定権限を与えることで、迅速な業務の執行ができるメリットが生まれます。

 

特別取締役を選出できる条件は、下記の通りです。

取締役会設置会社であること。

②取締役が6名以上いること。

③取締役のうち1名以上が社外取締役であること。

④指名委員会等設置会社ではないこと。

⑤監査等委員会設置会社であって、重要な業務遂行の決定を委任していないこと。

 

・特別取締役による取締役会の決議(373条)

特別取締役が「会社の重要な財産の処分、譲り受け」「多額の借財」に関する決議を行う場合、その他の取締役は決議に参加する必要はなく、特別取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成によって議決することができます。(出席・議決要件は加重可。)

特別取締役の決議は、全員が書面によって同意した場合であっても省略することはできません。招集の上で決議する必要があります。また、招集は各特別取締役が行います。招集権者を定めることはできません。(内々では招集役がいるとは思いますが・・・。)

特別取締役の決議があった場合は、特別取締役の互選によって定められた特別取締役は、遅滞なく特別取締役以外の取締役へ報告しなければなりません。監査役への報告義務はありません。