会社法 役員等の損害賠償責任 その2

会社法425条 役員等の損害賠償責任

 

・損害賠償責任の一部免除(425条)

役員等の損害賠償責任は、総株主の同意がなければ、免除できないとされています。

しかし、役員等がその職務を執り行うにあたり、善意無過失であった場合は、責任の一部免除が認められています。一部免除には、株主総会の決議が必要です。

免除されない賠償額は、年間報酬額から算出され、その計算法は役職により異なります。代表取締役や代表執行役だと賠償額が高くなり、取締役や会計参与等だと賠償額は少なくなります。

免除を受ける場合は、「責任の原因と賠償額」「免除される限度額とその根拠」「責任を免除すべき理由」を株主総会の議案とし、開示しなければなりません。また、株主総会へ議案を提出するにあたり、監査役(監査等委員、監査委員を含む)がいる場合は、その全員の同意が必要となります。(多数決や監査役会、監査等委員会の決議ではありません。全員の同意がなければ、株主総会へ議案提出ができません。)

 

・一部免除を受けた役員等への報酬の付与(425条)

実際に責任の免除を受けた役員等に対して、退職金や財産上の利益を付与する場合、株主総会の承認が必要です。それらの役員等が新株予約権保有していた場合、新株予約権を行使、譲渡する際にも株主総会の承認が必要です。さらに新株予約証券を保有していた場合は、会社に預託(預けること)しなければなりません。

会社に損害を与えた役員等は中々の針のむしろですね…。