会社法 剰余金の配当 その4

会社法463条~ 剰余金の配当等に関する責任

 

・株主に対する求償権の制限等(463条)

通常、分配可能額を超えて剰余金の配当を受けた株主に対し、業務執行者等は会社に対してその利益を返還するよう請求できます。(=求償権)

ただし、分配可能額を超えた配当を行った事実について、当該株主が善意である場合、会社に対する支払い義務を負いません。当たり前ですが、悪意であれば当然返還しなければなりません。

通常、経営にあまり関与しないような株主は、配当を受けた剰余金が実は分配可能額を超えていることなど、知りようがない場合があります。そのような株主に対してまで返還を求めなくてもよいということになります。何より分配してしまった業務執行者の過失であるのですから、求償権の制限をするのは致し方ないと思えます。

 

・債権者の求償権(463条)

会社の債権者は、株主に対して求償権の行使ができます。ただし、当該株主が支払い義務を負う場合に限られます。

 

・買取請求に応じて株式を取得した場合の責任(464条)

株主は様々な場合に株式買取請求権を行使できます。

会社側が下記の買取請求権に応じて株式を取得した場合において、買取請求権を行使した株主に対して給付を行った金額が分配可能額を超えるときは、業務執行者は会社に対して分配可能額を超過した金額を支払う義務を負います。

①株式併合により1株に満たない端数が生じた場合の株式買取請求権に応じるとき

116条に規定する株式買取請求権に応じるとき

逆の視点から見ると、上記①・②以外の場合は、分配可能額を超過した金額を支払った上で株式を取得できることになります。具体的には「単元未満株式の買取請求に応じるとき(192条)」「法務省令(=会社法施行規則27条)で定める場合」です。

ちなみに無償取得もOKです。お金払いませんので。

ふと条文を見ると、単元株式数の変更に反対する株主の買取請求権に応じると支払い義務が生じますが、単元株式数の変更後に単元未満株主となった場合は、支払い義務が生じないということになりますね・・・。