会社法 清算 その6

会社法499条~ 債務の弁済等

 

・債権者に対する公告、弁済の制限(499条・500条)

会社は清算開始の要件を満たした場合は、遅滞なく会社の債権者に対して「2か月以内(加重可)に申し出る旨」を公告し、所在がわかっている債権者に対しては個別に通知しなければなりません。公告、通知には期間内に申し出がない場合、清算から除斥される旨も付記しなければなりません。

債権者への弁済は、原則、債権者が全員出揃ってからでなければ、行ってはいけません。つまり、債権者の申し出の期間内は弁済を行ってはいけません。ただし、裁判所の許可を得た場合に限って弁済を行っても良い債権があります。「少額の債権」「会社の財産によって担保されている債権」「弁済をしても他の債権者を害する恐れがない債権」です。裁判所の許可を申し立てる場合、清算人が複数名いる場合は、全員の同意が必要です。

 

・条件付債権等に係る弁済(501条)

清算会社は条件付き債権や存続期間が不確定又は額が不確定となっている債権が存在する場合、裁判所に鑑定人の申し立てを行い、価額を確定させた上で弁済することができます。当然ですが、鑑定人が価額の決定を行った場合は、それに従わなければなりません。なお、鑑定人に係る費用は清算会社の負担です。

 

・債権の弁済前における残余財産の分配の禁止(502条)

清算会社はすべての債務を弁済した後でなければ、株主に対し残余財産の分配を行ってはいけません。ただし、不確定債権がある場合において、それらに充てられる財産を確保しているときは、残余財産の分配を始めても問題ありません。

 

清算からの除斥(503条)

債権者が清算会社から申し出るように定められた期間(499条)内に申し出を行わなかった場合、当然に清算から除斥されますが、残余財産からは弁済を受けることができます。ただし、すでに残余財産の分配を開始している場合、残余財産の分配は平等でなければならないため、分配を受けていない株主も同じ割合で残余財産の分配を受けることになります。この場合、申し出をしなかった債権者は最終的に残った残余財産から弁済を受けることになります。