会社法 持分会社の社員

会社法580条~ 社員の責任等

 

・社員の責任(580条)

持分会社には無限責任社員有限責任社員が存在します。(合名会社は全員無限、合資会社は両方、合同会社は全員有限。)

無限責任社員は会社の財産ですべての債務を弁済できなかった場合、会社に対する強制執行が功を奏しなかった場合に連帯して、会社の債務を弁済する責任を負います。ただし、強制執行が功を奏しなかった場合であったとしても、会社が弁済に十分な資力がある又は強制執行が容易であることを証明したときは会社が弁済を行います。

有限責任社員は、出資した価額を上限に会社の債務を弁済する責任を負います。出資額以上の弁済は行いません。

 

・社員の抗弁(581条)

会社が債務を弁済する場合、会社が有する抗弁権は当該会社の社員も債権者に対して行使することができます。会社が債権者に対して相殺権、取消権、解除権を有する場合、会社がそれらの権利を行使することで債務を逃れる範囲で、社員もそれらの権利を行使することができます。

 

・社員の出資に係る責任(582条)

社員が金銭を出資の目的とした場合に出資を怠ったときには、当該社員は会社に対し利息と損害賠償金を支払わなければなりません。

社員が債権を出資の目的とした場合に、当該債権の債務者が弁済をしなかった場合、出資を行った社員は会社に対し、利息と損害賠償金を支払わなければなりません。

 

・社員の責任を変更した場合の特則(583条)

有限責任社員無限責任社員となった場合は、当該社員が有限責任社員であった間に存在した債務についても、弁済の義務を負います。

有限責任社員が出資の価額を減少させた場合は、価額が減少する前に存在していた債務に関しては、減少前の限度額の範囲で弁済の義務を負います。

無限責任社員有限責任社員となった場合は、無限責任社員であった間に存在していた債務に関しては、有限責任社員となった後も弁済する責任があります。

つまり、責任の範囲を変更した場合であっても、変更前の債務の弁済責任を負うということです。

有限責任社員の出資価額の減少、無限責任社員有限責任社員への転換によって減少する責任は、責任範囲の変更登記後、2年以内に債権者が請求又は請求の予告を行わなかった場合、消滅します。

 

無限責任社員となることを許された未成年者の行為能力(584条)

無限責任社員となった未成年者は、社員の資格に基づく行為に関しては、行為能力者とみなされます。