会社法748条~ 合併
・合併契約の締結(748条)
会社は他の会社と合併することができます。合併にあたっては、合併契約書を作成しなければなりません。
吸収合併の契約を行う場合、吸収合併存続会社は吸収合併消滅会社の権利義務を包括的に承継します。
・株式会社が存続する吸収合併契約(749条)
吸収合併契約において、吸収合併存続会社が株式会社である場合には、以下の事項について定める必要があります。
①吸収合併存続会社及び消滅会社の商号、住所。
②吸収合併存続会社が消滅会社の株主(株式会社の場合)及び社員(持分会社の場合)に対し、消滅会社の株式又は消滅会社の持分に代わる金銭等を交付する場合はその内容。交付できる存続会社の金銭等の内容は「株式」「社債」「新株予約権」「新株予約権付社債」「それ以外の財産」です。
③②に従って金銭等を交付する場合は、割り当てに関する事項。
④消滅会社が新株予約権を発行している場合は、消滅会社の新株予約権者に対し、存続会社の「新株予約権」「新株予約権付社債」「金銭」を交付することができます。それ以外の交付はできません。
⑤④に従って新株予約権等を交付する場合は、割り当てに関する事項。
⑥吸収合併の効力発生日。
消滅会社が種類株式発行会社である場合は、株式の種類ごとに異なる扱いをすることができます。ある種類の株主に金銭等の割り当てをしないことを定めることもできます。
ただし、消滅会社の株主に交付する金銭等はその株式の数に応じて等しく割り振られなければなりません。
・株式会社が存続する吸収合併の効力の発生等(750条)
吸収合併存続会社は、効力発生日に消滅会社の権利義務を包括的に承継します。つまり、債権と共に債務も継承します。債務の一部であったとしても継承しないことはできません。
吸収合併消滅会社の合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、第三者へ対抗することができません。(後述します。)
上記(749条)の②、④にて、交付をされた「株式」「社債」「新株予約権」「新株予約権付社債」は、効力発生日に存続会社の株主や社債権者となります。
消滅会社の新株予約権は消滅します。無条件で存続会社の新株予約権者となることはありません。
債権者保護手続きを終えないまま合併の効力発生日を迎えた場合、合併の効力は発生しません。たとえ、効力発生日以後に債権者保護手続きが完了したとしても、本来の効力発生日がすでに無効となっているため、遡って有効になることはありません。
効力発生日に合併による解散の効力が発生します。ただし、解散していることを第三者に対抗するためには解散の登記が必要となります。
ex)解散の効力発生日後に消滅会社が保有する不動産を第三者に譲った場合、解散の登記をしなければ、存続会社は不動産の所有権を第三者に対抗できません。
上記の例の場合、第三者は善意悪意を問わないとされています。つまり、この第三者はたとえ消滅会社が解散していることを知っていたとしても、解散の登記をしなければ、存続会社は所有権を主張できないことになります。