会社法 組織変更の手続き

会社法775条~ 組織変更の手続き

 

・組織変更計画の備置き及び閲覧等(775条)

株式会社が組織変更を行う場合、組織変更計画に係る書面を組織変更の効力発生日まで本店に備え置かなければなりません。

備置き義務が発生する日は「組織変更について総株主の同意を得た日」「新株予約権者へ組織変更を公告・通知した日」「債権者異議の催告を行った日」です。

なお、株主又は債権者は、営業時間内であれば、いつでも閲覧請求ができます。

 

・組織変更計画の承認等(776条)

組織変更を行う場合、株式会社は効力発生日の前日までに総株主の同意を得る必要があります。また、登録株式株式質権者、登録新株予約権質権者に対しては、効力発生日の20日前までに通知、公告を行う必要があります。

 

新株予約権買取請求(777条・778条)

組織変更を行う場合、新株予約権者は株式会社に対し、新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求できます。買取請求を行う新株予約権新株予約権社債である場合は、社債についても買取請求を行わなければなりません。ただし、別段の定め(分離して処分してOK等)がある場合には、新株予約権のみを買い取ってもらうことができます。

組織変更を行う場合、株式会社は効力発生日の20日前までに新株予約権者へその旨を通知又は公告を行う必要があります。

新株予約権の買取は組織変更の効力発生日に効力が生じます。

 

・債権者異議手続き(779条)

組織変更を行う場合、債権者異議手続きを行う必要があります。

以降は、「債権者異議手続き」とまとめていこうと思いますが、債権者異議手続きは以下の通りです。

①1か月以上の期間を定め、

②その旨と異議申述するか否かを官報に公告し、

③知れている債権者には個別催告を行う。

④個別催告は「日刊新聞へ掲載」「電子公告」を行う定款の定めがある場合には不要。

⑤異議申述しなかった債権者は承認したものとみなされ、

⑥異議申述した債権者に対しては「弁済」「担保提供」「信託会社に信託」しなければならないが、

⑦債権者を害する恐れがないときはこの限りではない。

という①~⑦のワンセットです。

 

・効力発生日の変更(780条)

組織変更の効力発生日は変更することができます。効力発生日の前日までに変更する旨を公告する必要があります。ただし、前倒しする場合は、前倒しする効力発生日の前日までに公告です。

 

持分会社の手続き(781条)

持分会社が組織変更を行う場合は、総社員の同意が必要ですが、定款によって別段の定めを行うことができます。

株式会社と同様に債権者異議手続きを行わなければなりません。合同会社は「日刊新聞へ掲載」「電子公告」を行えば、債権者への個別催告は不要ですが、合資会社、合名会社はいかなる場合であっても個別催告を行わなければなりません。