会社法 吸収合併等の手続き その1

会社法782条~ 吸収合併等の手続き

 

・吸収合併等に関する契約書類の備置き・閲覧(782条)

吸収合併消滅会社、吸収分割会社、株式交換完全子会社(以下、消滅株式会社等)は吸収合併契約等書類の備置き義務があります。

備置きする期間は「吸収合併契約等について、株式総会の決議があった日の2週間前」「反対株主への告知日」「新株予約権買取請求に係る告知日」「債権者異議手続きの告知日」「契約日から2週間後」のいずれか早い日から「吸収合併等の効力発生日の6か月後」までです。

消滅株式会社等の株主、債権者はその営業時間内であれば、いつでも吸収合併等契約書の閲覧請求ができます。(株式交換完全子会社の場合は株主と新株予約権者が請求できます。債権者は含まれません。)

 

・吸収合併契約等の承認(783条)

消滅株式会社等は、効力発生日の前日までに吸収合併契約等について、株主総会の承認を受けなければなりません。

例外①…吸収合併消滅会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社でない場合において、合併対価が合併会社又は親会社の持分であるときには、総株主の同意が必要です。

例外②…吸収合併消滅会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、吸収合併又は株式交換の対価が譲渡制限株式等であるときは、譲渡制限株式等の割り当てを受ける種類株主総会の決議がなければ、効力を生じません。

例外③…吸収合併消滅会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、合併対価が合併会社又は親会社の持分であるときには、持分の割り当てを受ける種類株主の総同意がなければ、効力を生じません。

消滅株式会社等は効力発生日の20日前までに登録株式質権者、登録新株予約権質権者に対し、吸収合併等を行う旨の通知又は公告が必要です。

 

・吸収合併契約等の承認が必要ない場合(784条)

通常、消滅株式会社等は吸収合併契約等に際し、効力発生日の前日までに株主総会の承認を受ける必要がありますが、存続会社等が特別支配株主である場合には承認は不要です。ただし、吸収合併又は株式交換の交換対価等に譲渡制限株式が含まれる場合であって、かつ消滅株式会社が種類株式を発行していない公開会社であるときには、株主総会の承認が必要です。(公開会社の譲渡制限株式が譲渡されてしまう場合です。通常、譲渡性の低い譲渡制限株式を承認なしに譲渡していまうのは会社にとって好ましいことではありません。)

吸収分割を行う場合であって、分割会社が承継会社に承継される資産が分割会社の総資産額の1/5を超えないときは、株主総会の承認は不要です。(いわゆる簡易合併の場合は、株主総会の承認は不要です。)