会社法 吸収合併等の手続き その2

会社法784条の2~ 吸収合併等の手続き

 

・吸収合併等をやめることの請求(784条の2)

簡易分割以外の場合であって、吸収合併等が定款又は法令違反の結果、消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれのあるときは、当該株主は吸収合併等をやめることを請求できます。

また、存続会社等が消滅株式会社等の特別支配株主である場合において、吸収合併等に係る対価が存続会社等又は消滅株式会社等の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるときも吸収合併等をやめることの請求ができます。(請求者は消滅株式会社等の株主。)

 

・反対株主の株式買取請求(785条)

吸収合併等を行う場合には、反対する株主は株式会社に対して、保有する株式を公正な価額で買い取ることを請求できます。ただし、簡易分割を行う場合又は吸収合併等に総同意が必要な場合は、請求ができません。

請求ができるのは、吸収合併等を決議する株主総会に先立って反対の意思表示を行い、かつ株主総会で反対した株主です。また、株主総会で議決権を行使できない株主も請求できます。株主総会が開かれない場合はすべての株主が対象になります。

ただし、請求者に特別支配株主は含まれません。そんな請求したら消滅会社が潰れかねませんし、そもそも矛盾しています。特別支配株主が存在する場合であったとしても、特別支配株主に該当しない株主は請求ができることになります。略式手続きの際は、株主総会が開催されないことから、特別支配株主以外の全株主(議決権の有無は問わない。)は反対の意思があれば、株式買取請求ができます。

 

新株予約権買取請求権(787条)

吸収合併等を行う場合、消滅会社等の新株予約権者は一定の条件を満たす場合に限り、自己が持つ新株予約権を消滅会社等に買い取ることを請求できます。新株予約権買取請求を行うことができる条件は、消滅会社等の新株予約権と同じ種類の承継会社等の新株予約権交付されない場合です。

原則として、新株予約権社債の買取請求を行う場合には、社債も同時に買い取るよう請求しなければなりませんが、分離して処分が可能な場合はこの限りではありません。

消滅会社等は、新株予約権者に対し、20日前までに吸収合併等を行う旨及び承継会社等の商号、住所を通知又は公告しなければなりません。新株予約権買取請求ができない場合であっても通知義務があります。