会社法 訴訟 その4

会社法838条~ 会社の組織に関する訴え

 

・容認判決の効力が及ぶ者の範囲(838条)

会社の組織に関する訴えを容認する判決は、第三者に対してもその効力が生じます。(対世効)

会社の係争について、その判決の効力が当事者のみにしか及ばなかった場合、会社に関わる債権者や株主等の大多数の人に効力が及ばないことになってしまいます。そうなると、不利益を受ける人が大量に出てしまうため、会社の組織に関する判決は、対世効となっています。

 

・無効又は取り消しの判決の効力(839条)

会社の組織に関する訴えが確定し、無効又は取り消しとなった行為は、将来に向かってのみその効力を失います。即ち、無効又は取り消しとなった行為は、確定判決までは有効であるということになります。(将来効)(対義語は遡及効=遡って効力を失うこと。)

ex)吸収合併が取り消された場合において、取り消し前に吸収合併承継会社が剰余金の配当を行っていたときは、剰余金の配当は有効となります。

ex)株式会社の設立が無効となった場合において、すでに設立時募集株式の引受人が出資の履行を終えていたときは、株式会社の清算が開始され、当該引受人は一時的に設立した株式会社(清算株式会社)に対して、残余財産の分配請求を行わなければなりません。発起人に対して出資金の返還請求をすることはできません。