商業登記法 株式会社の登記 その1

商業登記法46条 株式会社の登記

 

・添付書面の通則(46条)

登記すべき事項について、株主若しくは種類株主の総同意又は取締役若しくは清算人の一致が必要な場合は、同意又は一致があったことを証する書面を添付して申請しなければなりません。

同様に、株主総会や取締役会の決議が必要な場合は、その議事録を添付します。ただし、決議があったものとみなされる場合は、議事録ではなく、みなし決議に該当することを証する書面を添付します。

監査等委員会設置会社において、「取締役の過半数社外取締役である場合は、取締役会の決議」又は「取締役会の過半数社外取締役ではない場合は、取締役会の決議と定款の定め」によって、重要な業務決定の委任を受けた取締役の決定による登記を行うときは、「取締役会の議事録」と「取締役の決定を証する書面」を添付します。(定款の提出は不要。会社登記時に提出しているため。)

指名委員会等設置会社において、「取締役会の決議」によって、重要な業務決定の委任を受けた執行役の決定による登記を行う場合は「取締役会の議事録」と「執行役の決定を証する書面」を添付します。

 

同意又は一致が必要な事項は、同意又は一致があったことを証する書面が必要ですが、みなし決議の場合は、同意又は一致があったことを証する書面の添付では、登記ができません。みなし決議に該当することを証する書面が必要です。

 

・先例(46条)

株主総会

株主総会の決議が必要な事項を登記する際において、死亡又はやむを得ない事由で議事録に記名押印ができない取締役がいる場合、それを証する書面を議事録に添付して申請することができます。

株主総会の議事録を複数通作成し、それぞれに取締役が記名押印し、全部合わせれば取締役全員分の記名押印が揃う場合であったとしても、適法な議事録とは言えません。

株主総会議事録にある1名の取締役が記名押印を拒んだ場合、その事情を記載した他の取締役全員又は代表取締役の上申書を添付して申請することができます。

基準日における株主が定時株主総会の議決権者であると定めがある場合において、基準日から定時株主総会の間に新株が発行されていたとしても、基準日時点の有効議決権数を基にした株主総会充足数を満たしているときは、当該株主総会の議事録は有効なものとして扱われます。

1人株主の会社は、当該株主が出席さえしていれば、株主総会は有効に成立しており、招集手続きを行う必要はありません。

(取締役会)

取締役会議事録は過半数の取締役の記名押印があれば、有効です。

取締役の定数が6名である場合において、1名死亡による欠員があったとしても、4名の出席及び賛成があれば、取締役会は有効に成立します。

取締役3名のうち2名が特別利害関係で決議に参加できない場合、残る1名の決議による取締役会議事録は有効です。

電話会議やリモート会議による取締役会であったとしても、決議に必要な取締役が参加し、十分な議論が行えると認められる場合、当該取締役会の議事録は有効です。