商業登記法 株式会社の登記 その2

商業登記法47条 株式会社の登記

 

・設立の登記(47条)

株式会社の設立は、会社を代表すべき者によって申請します。

株式会社の設立に必要な書類は以下の通りです。

①定款…絶対必要です。

〇定款に取締役会を設置する定めがあれば、設立時取締役の過半数で設立時代表取締役を選定した書面を添付します。ただし、取締役会設置の定めがなく、定款による設立時代表取締役の選定の方法が定められていない場合は、発起人の互選で設立時代表取締役を選出したことを証する書面を添付します。

〇定款の認証は、申請する登記所が管轄する公証役場による認証を受けなければ無効となります。

 

②設立時株式を引き受ける者を募集したときは、その引受けの申込み又は総引受け契約を行ったことを証する書面

〇発起設立の場合は使用しません。

〇募集設立するA株式会社の株式申込人がB株式会社であり、B社の代表取締役Cが発起人である場合、Cの行為はB社との利益相反行為になりますが、A社の設立登記の申請には、B社の承諾を得たことを証する書面を添付する必要はありません。A社の設立登記の申請に他社が作成した書面を添付することは不合理であるためです。

 

③定款に変態設立事項の定めがある場合「検査役又は設立時取締役・監査役の調査報告書及び附属書類」「有価証券が出資されたときは、その市場価格を証する書面」「定款に現物出資財産の定めがあるときは、その価額が適正であると検査役の調査を受けたことを証する書面」

〇現物出資財産が500万円を超える場合は、検査役の調査報告書を添付しますが、500万円を超えない場合は、発起人又は設立時取締役・監査役の調査報告書を添付します。

〇定款に変態設立事項の定め、記録がない場合は、上記の書面は必要ありません。

 

④検査役の報告に関する裁判があったときはその謄本

〇検査役が報告を行った裁判所が現物出資財産の価額を変更する決定を行った場合は、当該決定書の謄本を添付して申請する必要があります。

 

⑤発起人による出資及び設立時募集株式の払込を証する書面

〇発起設立の場合は「払込金融機関に払い込まれた金額を証明する書面(設立時代表取締役が作成)」「払込口座の通帳の写し又は金融機関発行の明細書」があれば、発起人による出資金の払い込みを証する書面として添付することができます。振り込みでなくても、通常の入金で問題ありません。ただし、複数名分を一度に入金することはできません。人数分それぞれ入金が必要です。

〇募集設立の場合は、金融機関が発行する「払込金保管証明書」が必要です。

〇払込口座の名義人は、原則発起人ですが、設立時取締役の口座を使うこともできます。その場合、発起人が設立時取締役に受領権限を委任したことを証する書面を添付して申請を行います。

〇払込口座の名義人は、発起人又は設立時取締役でなければなりません。ただし、発起人及び設立時取締役の全員が国内住所がないことが明らかである場合に限り、登記申請時に第三者に対して受領権限を委任したことを証する書面を添付することで、第三者の口座を使用することができます。なお、複数の発起人がいる場合であっても、発起人1名からの委任で足ります。