民事執行法 不動産に対する強制執行 その3

民事執行法48条~ 強制競売

 

・差押えの登記の嘱託(48条)

強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちにその開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければなりません。差押えの登記がなければ、第三者に対抗できなくなりますから、当然の措置ですね。

登記官は、差押えの登記をした後、執行裁判所へその登記事項証明書を送付します。ちゃんと差押えの登記をしましたよ、と連絡するということですね。

 

・売却のための保全処分等(55条)

不動産が競売手続き中であっても、買受人が代金を納付するまでの間に債務者又は不動産の占有者が不動産の価値を減少させる行為(おそれがある行為を含む)を行った場合、差押債権者は、執行裁判所へ保全処分の申立てをすることができます。

ただし、不動産を執行官へ引き渡す保全処分を決定する場合は、債権者は担保を立てなければなりません。

売却のための保全処分は、強制競売手続が開始された後(=差押え後…債権者の権原が確定した後)でなければ申し立てることができません。強制競売手続前に保全処分を申し立てることができるのは、担保権の実行による強制競売の場合に限られます。(=担保権があるということは、保全申立てをする権原があるということです。)

 

ちなみに、強制競売の目的である建物を破壊するなど、余りにもひどい競売の妨害行為の場合は、強制執行妨害罪として刑事告訴ができます。(刑法96条の2)