民事執行法 債権及びその他の財産権に対する強制執行 その2

民事執行法151条~ 債権執行等

 

・継続的給付の差押え(151条)

給料その他継続的給付に係る債権の差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用を限度として、差押え後に生じる給付にも及びます。つまり、一度差押えをした給料や家賃債権等は、差し押さえた日以降も差押えの効力が及ぶということです。

 

・扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例(151条の2)

扶養義務等に係る定期金債権(親族間の扶養義務や養育費等を目的とする金銭)を請求する場合、通常であれば、確定期限が到来していないものについては、執行を開始することはできませんが、債務者に一部不履行が生じた場合は、確定期限が到来していないものについても、執行を開始することができます。

ex)債務者Aが養育費の支払いを4、5、6月分滞った場合、債権者Bは6月時点であっても7、8、9月分の養育費の差押えを開始することができます。

 

・差押禁止債権(152条)

給料や退職手当などの債権は、4分の3を超えて差し押さえることはできません。つまり、給料が20万円支給されていたら、差し押さえられるのは5万円のみです。

ただし、扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合は、2分の1まで差し押さえることができます。給料が20万円あれば、10万円まで差押え可能です。

ついでに、公的年金生活保護費、児童手当などの差押えは禁止されています。

 

・差押債権者の金銭債権の取立て(155条)

金銭債権を差し押さえた債権者は、差押命令が送達されて1週間が経過したときには、第三債務者に対し、直接自分にお金を支払うよう請求ができます。直接取立てが可能ということですね。

ただし、生計維持に必要なお金(給料など)は、4週間が経過しなければ、直接取り立てることはできません。例外として、扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合は、たとえ差押えの目的が給料等の債権であったとしても、1週間経過すれば、直接取立てが可能です。