刑法 偽証の罪

刑法169条 偽証

 

・偽証(169条)

法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3か月以上10年以下の懲役に処します。

虚偽の陳述をした本人が「虚偽である」と認識していれば成立します。故に本人が故意に記憶に反する陳述をした場合であって、その内容が真実と一致するときであったとしても、偽証罪が成立します。(大判大正3.4.29)

 

・解説

一応、試験に出ることはないと思いつつ、結構紛らわしいのでまとめておきます。

偽証罪に問われるのは、証人として出廷し、宣誓をした者のみです。ちなみに宣誓は尋問を行う前に宣誓書によって行われます。裁判官がうっかり宣誓をさせ忘れたとしても、尋問の最後に宣誓すれば問題ありません。なので、最初の宣誓がなかったからと言って、虚偽の証言をすると偽証罪に問われます。

一番大事なポイントは、裁判の当事者(原告・被告)に偽証罪は適用されません

宣誓した当事者が虚偽陳述した場合は、過料に処されます。

→「民訴法209条1項…宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、裁判所は、決定で、10万円以下の過料に処する。」

 

次に刑事事件の場合ですが、被疑者が取り調べ段階で虚偽の供述を行い、事実とは反する供述調書を警察官に作成させたとしても、偽証罪には当たりません。被疑者は厳しい刑罰を逃れたり、他の犯罪を隠したりする目的で虚偽の陳述を行ってもおかしくはない立場であるため、罪にはなりません。もっとも、警察官が「こいつは嘘ばっかりついて反省してねーな!」とみなし、勾留期間が延びたり、検察官が起訴に踏み切ったりするリスクはあります。

なお、参考人が捜査機関の取り調べに虚偽の供述を行った場合は、犯人隠避罪に問われる可能性があります。→過去記事