供託法 執行供託 その1

供託法 執行供託の手続き

 

・執行供託の申請手続き

金銭債権に対して差押えがされた場合、第三債務者は、その債務の全額を供託することができます。また、金銭債権の総額を超えて2人以上の執行債権者に差押えや仮差押えを受けた場合、第三債務者はその債務の全額を供託しなければなりません

差押えが競合する場合(=金銭債権以上の差押えがされた場合)は、義務供託となります。

 

金銭債権の差押えがされた場合の第三債務者の供託手続きは以下の通りです。

①金銭債権の全額が差し押さえられた場合…被供託者欄は空欄。供託原因のみ記載。

②金銭債権の一部が差し押さえられ、全額を供託する場合…被供託者欄に差押債務者名を記載。

③金銭債権の一部が差し押さえられ、差押金額のみ供託する場合…被供託者欄は空欄。供託原因のみ記載。

④金銭債権の差押えが競合した場合…被供託者欄は空欄。供託原因のみ記載。

 

ひとりの差押債権者に金銭債権を差し押さえられた場合は、第三債務者はその選択に応じて、差押債権者へ直接支払いをすることも、債務を供託することができます。ただし、差押えが競合した場合は、第三債務者が自己判断で支払いをすることが許されないため、供託の義務があるということです。

第三債務者が差押えに係る金銭債権の全額を供託した場合は、執行裁判所は配当の実施(競合する場合)又は弁済金の交付(単独差押えの場合)を行わなければなりません。

 

・差押禁止債権の供託

給与債権等は、差押限度額が決まっています。(4分の1まで差押可能。ただし、税金や養育費等が理由の場合は2分の1まで差押可能。)

給与債権等の差押限度額のある債権について、第三債務者が供託を行う場合は、限度額を超えて供託をすることが可能です。もちろん、差押限度額の範囲内で供託をしてもOKです。

なお、差押限度額を超えて供託を行った場合で、差押債権者が限度額分の払渡請求を行った後は、残りの差押限度額を超える部分については、他の債権者が差し押さえることはできません。