供託法 執行供託 その2

供託法 強制執行・滞納処分による差押え

 

強制執行による差押え

第三債務者は強制執行による債権の一部差押えがされた場合であっても、その債権全額を供託することができます。(民執法156条)

差押えと仮差押えが競合し、差押えの総額が債権全額を超える場合は、第三債務者は、その債権全額を供託しなければなりません。

ただし、上記の義務供託が発生するのは、先に差押えをした差押債権者の取立訴訟の訴状が届くまでの間に別の差押債権者が当該金銭債権に差押えをした場合です。ひとりの差押債権者のみが差押えをしている間に、当該差押債権者による取立訴訟の訴状が届いたら、すぐに債権の取立てに移りますので、供託の義務はありません。(もちろん、供託しても良いです。)

 

第三債務者が供託を行った後は、差押債権者が差押え訴訟を取り下げた場合であっても、供託金の取戻請求をすることはできません。第三債務者は、供託によって弁済の義務を免れているため、第三債務者の取戻請求権は消滅します。

 

・滞納処分による差押え

国税徴収法による税金の滞納をしている場合、徴収職員による滞納処分の執行がされることがあります。税金の取立ては厳しいです!

第三債務者が滞納処分による金銭債権全額の差押えをされた場合は、供託することができません。徴収職員に大人しく支払う以外ありません。

第三債務者が滞納処分による金銭債権全額の差押えをされた場合であって、さらに強制執行による差押えをされたときは、供託をすることができます。(義務供託ではありませんので、そのまま徴収職員へ弁済することも可能です。)

 

(特殊ケース)

第三債務者が滞納処分による金銭債権の一部差押えをされた場合であって、さらに強制執行による一部差押えがされたときは…

①滞納処分による金銭債権の一部差押えの残余の範囲内において強制執行の差押えがあった場合は、供託をすることができません。

②滞納処分による金銭債権の一部差押えの残余の範囲内を超えて強制執行の差押えがあった場合は、供託をすることができます。(義務供託ではありません。)

上記②のケースであっても、結局滞納処分の差押えに対して優先的に配当がされるので、差押債権者はその残余部分について、配当を受けられるに過ぎません。

ちなみに滞納処分の差押えは常に他の債権者より優先権がありますが、滞納者の財産に先取特権留置権があれば、先取特権留置権が優先されます。