供託法 保証供託 その1

供託法 保証供託の管轄・払渡し

 

・管轄

裁判上の担保供託を行う場合は、当然ですが、その担保を命じた裁判所が所在する管轄内の法務局へ供託しなければなりません。債務者や債権者の住所ではありません。

ちなみに営業保証供託の場合は、その主たる事務所又は営業所の最寄りの法務局です。

 

・供託物

裁判上の保証供託とは、保全命令や仮執行免脱宣言に係る保証供託のことを指します。

これらの保証供託においては、金銭の他、裁判所が認める有価証券や振替国債を供託することができます。営業保証供託の場合も同様です。

なお、供託物の担保の効力は、供託物の利息には及びません。元本にのみ担保の効力が発生します。利息は供託者のものです。

 

・払渡し

供託物の払渡しがされる場合において、裁判所が配当の形式を取った場合は、必ず配当手続きによって払い渡されます。供託物に権利を有する債権者であったとしても、配当が実施される以上は、裁判所の配当を待たなければなりません。

 

原告が提訴した場合において、被告が原告に訴訟費用の担保を立てることを申し立て、裁判所がその決定した場合は、原告は訴訟費用の担保を供託しなければなりません。(民訴77条)

被告が勝訴した場合、当該訴訟費用の担保に対して還付請求を受ける権利が発生します。この場合の供託物の払渡請求は、配当による必要はなく、裁判所から「供託原因消滅証明書」を発行してもらって法務局へ申請すれば、直接供託物の払渡しを受けることができます。

 

保全命令に係る担保供託の払渡し

民事保全法保全命令が発令される場合、担保を立てることが一般的です。保全命令後の裁判で債務者が勝訴した場合、債務者が損害を被る可能性があるためです。

ex)仮差押債権者の申立てにより仮差押命令を発したが、本訴では仮差押債務者が勝訴した。差押債務者は仮差押によって被害を被ったので、担保供託から払渡しを受けた。

上記の保全命令に係る担保供託の払渡しは、供託者又は被供託者が受け取ることになります。

供託者が保全命令に係る担保供託が消滅したことに伴って払渡しを請求する場合、担保事由が消滅したことを証する書面が必要です。供託原因消滅証明書(担保原因消滅証明書及びその確定証明書)がこれにあたります。

被供託者が保全命令に係る担保供託の還付請求を受ける場合、被担保債権の存在を証明する書面が必要となります。裁判の確定判決や和解調書などがこれにあたります。