供託法 供託物払渡請求権の消滅時効

供託法 供託物払渡請求権の消滅時効

 

消滅時効

供託物払渡請求権には消滅時効があります。試験では客観的起算点を問われる問題が多いように見えます。

供託物払渡請求権の消滅時効の起算点は、原則「その権利を行使できるようになったとき」です。場合によっては、供託のときが客観的起算点となることもあります。

 

弁済供託における取戻請求権の消滅時効の客観的起算点は、主な場合として、供託者が「供託による免責を受ける効果の必要がなくなったとき」です。一般的には被供託者の還付請求権の消滅時効が成立したときが客観的起算点となります。

 

営業保証における取戻請求権の消滅時効の客観的起算点は、主な場合として、従たる営業所を廃止することになり、供託金が法定の金額を超えたときです。

ex)主たる営業所と従たる営業所2店舗を持っている宅建業事務所が従たる営業所を廃止したことで、供託金1500万円のうち500万円の消滅時効が進行を開始します。

 

受領拒否による弁済供託の還付請求権の客観的起算点は、紛争の解決等により被供託者が還付請求権を現実に行使することが期待できるようになったときです。

 

消滅時効の更新

供託者が供託に関する書類の閲覧をした場合は、債務の承認として取戻請求権の消滅時効は更新します。

つまり、供託官が供託事項証明書を発行すると、法務局側が債務の承認を行ったことになり、消滅時効が更新されるのです。

被供託者が供託事項証明書の発行を申請すれば、還付請求権の消滅時効が更新されます。供託者が供託事項証明書の発行を申請すれば、取戻請求権の消滅時効が更新されます。よって、供託者の閲覧請求によって還付請求権の消滅時効が更新されることはありません(逆も然り)。