民法 未成年者、成年後見制度

民法3条~ 行為制限能力者

 

・意思能力(3条の2)

法律行為の当事者が意思表示をしたときに意思能力を有しなかった場合、その法律行為は無効となります。

有効に法律行為を行うことのできる意思能力は、未成年者や成年被後見人等にはないとされます。ただし、営業の許可を得られた場合、その営業の範囲内の行為は当然に有効とされます。

 

・未成年者(5条~)

未成年者が法律行為をするには、法定代理人の許可が必要です。

ただし、単に利益を得、又は義務を免れる法律行為は単独で有効となります。負担のない贈与や借金を帳消しにしてもらうなどがこれに当たります。

法定代理人が自由に処分することを許された財産は、未成年が自由に使うことができます。いわゆるお小遣いです。

 

成年後見、補佐、補助(7条~)

このあたりは、大体頭に入っているので、さらりと・・・。

成年被後見人等は強力な保護規定があります。成年後見人は、成年被後見人の完全に法定代理人です。同意権はありません。同意する必要がないほど、事理弁識能力を欠いているためです。

保佐人、補助人には、同意権があります。被保佐人、被補助人が保佐人、補助人の同意を得て行った行為は完全な行為となります。

なお、補助開始の審判の際に限り、被補助人となる本人の同意が必要です。本人申立ての場合は、不要です。だって、自分で申し立ててるし・・・。あくまで、審判に際して同意が必要であり、申立ての際に同意が必要ではないことに注意です。

ついでに、いかなる場合であっても「日用品の購入その他日常生活に関する行為」を取り消すことはできません。本人意思の尊重の規定が優先されるためです。

 

保佐申立てがあった場合でも、家庭裁判所は後見類型又は補助類型の審判をすることができます。逆も然りです。

後見、保佐、補助審判の取消しは、行為能力が復活したときに限り請求により(職権ではない)行われます。つまり、ほぼ無理ということです。

 

消滅時効完成後の債務の承認は、未成年者、成年被後見人等はできません。時効完成後の債務の承認は、新たな債務を負う行為になるためです。ただし、被保佐人、被補助人については、単独で時効の更新のための債務の承認はできます

 

制限行為能力者の相手方の催告権(20条)

制限行為能力者の相手方は法律行為を承認するかどうか期限を定めて催告することができます。

制限行為能力者が行為能力者となった後に本人に対して催告→期限が過ぎると追認。

保佐人、補助人、法定代理人に対して催告→期限が過ぎると追認。

上記2点については、特別の方式を要する行為については、期間内にその方式を具備した旨を通知しない場合に限り、取り消したものとみなされます

被保佐人、被補助人に対して、保佐人又は補助人に追認を得るべき旨の催告をすることができ、期限内にその追認を得た旨を通史しないときは、取り消したものとみなされます。

 

制限行為能力者の詐術(21条)

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いた場合は、その行為を取り消すことはできません。信義則に反する行為をする制限行為能力者までを法的に保護する必要はないということです。

ただし、行為制限能力者であることを黙秘していただけでは詐術には当たりません。詐術と認めるには、行為能力者であることを信じさせるために積極的行為を行うことを要します。

 

ついでに、行為能力の制限を理由とする取消権の行使は、追認することができるときから5年。行為の時から20年で消滅時効を迎えます。ただし、行為無能力者であることを理由とする無効は、取消権の消滅時効が成立した後も主張することができます。