民法 条件及び期限 その2

民法131条~ 条件及び期限

 

・既成条件(131条)

条件が法律行為のときにすでに成就していた場合、その法律行為は、停止条件の場合は無条件、解除条件の場合は無効です。

条件が法律行為のときに成就しないことが確定していた場合、その法律行為は、停止条件の場合は無効、解除条件の場合は無条件です。

 

・不法条件(132条)

不法な条件を付した法律行為は無効です。不法行為をしないことを条件とする法律行為も無効です。

ex)「Aさんを殺したら、100万円をあげる。」=無効。

 

不能条件(133条)

達成不可能な条件を付した法律行為は、停止条件であれば無効、解除条件であれば無条件です。

ex)「富士山を素手沖縄県に持っていったら、100万円をあげる。」=無効。

 

・随意条件(134条)

停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効です。

ex)「気が向いたら100万円をあげる。」=無効。

 

判例(134条)

解除条件付法律行為は、条件が単に債務者の意思のみに係るものであっても、無効とはなりません。(最判昭和35.5.19)

 

・期限の到来の効果(135条)

法律行為に始期を付したときは、期限の到来までその履行を請求できません。

法律行為に終期を付したときは、期限の到来によって、効力は消滅します。

 

・期限の利益及びその放棄(136条)

期限は、債務者の利益のために定めたものと推定されます。期限の利益を放棄することはできますが、それによって相手方の利益を害することはできません。

つまり、貸金の債務者は、期限満了までの利息と元本を債権者に支払うことで、期限前に弁済することができます。これが弁済時までの利息のみだと、債権者が本来受け取れるはずだった期限満了までの利息分の利益を害してしまいます(その他、債権者が金銭を準備するために要した費用等も損害賠償額に含まれることも)。ただし、当事者同士の特約がある場合は、この限りではありません。

 

・期限の利益の喪失(137条)

以下の場合は、債務者は期限の利益を主張することができません。

①債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。

②債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。

③債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

 

判例(137条)

未登記の抵当権又は質権の目的となっている不動産を債務者が他者に移転して登記した場合、抵当権者又は質権者は譲受人に対抗することができなくなります。この行為は「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。」に該当し、債務者は、期限の利益を喪失します。(東京地裁昭和11.10.21)