民法 時効 その1

民法138条~ 時効

 

・期間の計算の通則(138条)

期間の計算方法は、法令・裁判上の命令・法律行為に別段の定めがある場合を除いて、この章(138~143条)の規定に従います。

 

判例(138条)

消滅時効の起算点は、初日を算入しません。(大判昭和6.6.9)

 

・期間の計算(140条)

日、週、年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しません。ただし、午前0時から始まるときは、初日を算入します。

 

判例(140条)

民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)所定の3年の時効期間についても、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時が午前0時でない限り、初日は算入しません。(最判昭和57.10.19)

 

・時効の効力(144条)

時効の効力は、その起算日にさかのぼります。

ここでいう起算日は、時効を数え始める日です。消滅時効であれば、起算日までさかのぼるとそれまでの債務が利息や遅延損害金も含めてなかったことになりますし、取得時効であれば、起算日以降の目的物の果実も時効取得者に帰属します。

 

判例(144条)

取得時効を援用する者が任意にその起算日を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることは許されません。(最判昭和35.7.27)

=取得時効に必要な期間継続して占有があった場合でも、取得時効成立日以降に登記を経由した第三者には対抗できないのに対し、第三者が登記をした後に取得時効が成立すれば、登記なくして当該第三者に対抗できます。しかし、取得時効を援用する者が取得時効の起算日を自由に動かすことができてしまうと、第三者の権利関係が不安定になってしまうため、取得時効の基礎となる事実が発生した時を起算点として時効完成の時期を確定させなければなりません。