商業登記法 株式会社の登記 その11

商業登記法79条~ 組織変更の登記

 

・合併の登記(79条)

吸収合併の登記又は新設合併による設立の登記をする場合は、合併を行った旨と吸収合併消滅会社又は新設合併消滅会社の商号及び本店も登記する必要があります。

 

・吸収合併の登記(80条)

吸収合併による変更の登記の申請に必要な書面は以下の通りです。

①吸収合併契約書

②略式合併(消滅会社が特別支配株主)又は簡易合併の要件を満たす場合は、それを証する書面

③債権者保護手続きを行ったことを証する書面(消滅会社、存続会社ともに)

④資本金の額が会社法の規定により計算されたことを証する書面

⑤消滅会社の登記事項証明書

⑥消滅会社が株式会社である場合は、吸収合併契約の承認があったことを証する書面

⑦消滅会社が持分会社である場合は、総社員の同意があったことを証する書面

⑧消滅会社が株券発行会社である場合は、引き換え手続きを行ったこと又は株券を発行していないことを証する書面

新株予約権を発行している場合は、引き換え手続きを行ったこと又は新株予約権証券を発行していないことを証する書面

 

・新設合併の登記(81条)

新設合併による設立の登記の申請に必要な書面は以下の通りです。

①新設合併契約書

②新設合併株式会社の定款

③設立時に必要な書面(出資に関する書面や創立総会に関する書面を除く)

④資本金の額が会社法の規定により計算されたことを証する書面

⑤消滅会社の登記事項証明書

⑥消滅会社が株式会社である場合は、新設合併契約の承認があったことを証する書面

⑦消滅会社が持分会社である場合は、総社員の同意があったことを証する書面

⑧消滅会社において、債権者保護手続きを行ったことを証する書面

⑨消滅会社が株券発行会社である場合は、引き換え手続きを行ったこと又は株券を発行していないことを証する書面

⑩消滅会社が新株予約権を発行している場合は、引き換え手続を行ったこと又は新株予約権証券を発行していないことを証する書面

 

・合併による解散の登記(82条)

吸収合併又は新設合併による解散の登記は、吸収合併存続会社又は新設合併設立会社を代表すべき者が消滅会社の代表を務めます。

合併による解散の登記は、存続会社又は新設会社が同一の登記所管轄内にない場合は、存続会社又は新設会社を管轄する登記所を経由して行われます。

合併による解散の登記と吸収合併、新設合併の登記の申請は同時に行わなければなりません。

 

商業登記法 株式会社の登記 その10

商業登記法76条~ 組織変更の登記

 

・組織変更の登記(76条)

株式会社が持分会社に組織変更をした場合は、組織変更後の持分会社の登記においては、会社設立の年月日、組織変更前の株式会社の商号、組織変更を行った旨及びその年月日も登記する必要があります。

 

・組織変更の登記(77条)

株式会社が持分会社に組織変更する場合は、絶対的に「①組織変更計画書」「②定款」「③債権者保護手続きを行ったことを証する書面」が必要です。③については、債権者保護手続きが不要である場合はその旨を証する書面となります。

株券又は新株予約証券を発行している場合は、それらの提出に関する公告を行ったことを証する書面若しくは発行していないことを証する書面が必要です。

組織変更により合同会社となる場合には、業務執行社員のみ登記されます。

組織変更により合資会社となる場合には、有限責任社員がすでに履行した出資の価額を証する書面が必要です。

 

・組織変更の登記(78条)

株式会社がする組織変更の登記と組織変更後の持分会社の設立の登記の申請は同時に行わなければなりません。

商業登記法 株式会社の登記 その9

商業登記法71条~ 株式会社の登記

 

・株式会社の解散の登記(71条)

解散の登記において、登記すべき事項は「解散の旨と解散事由」「解散年月日」です。

定款に定めた解散事由の発生による解散の登記の申請には、その事由の発生を証する書面を添付します。

代表清算人の申請による解散の登記を行う場合は、その資格を証する書面を添付します。ただし、取締役が清算人になった場合(会社法478条1項による)又は代表取締役が代表清算人になった場合(会社法483条4項による)は、その資格を証する書面の添付は要しません。

 

・職権による解散の登記(72条)

休眠会社のみなし解散による解散の登記は、登記官が職権で行います。

 

清算人の登記(73条)

清算人の登記の申請には、常に定款を添付しなければなりません。(特例有限会社株主総会で選任された清算人の登記の場合に限り、定款の添付は不要です。レアパターン。)

定款で定める者又は株主総会で選出された者が清算にになる場合は、その就任を承諾したことを証する書面を添付します。取締役がそのまま清算人になった場合は不要です。

裁判所が選任した者が清算になった場合であっても、申請によって清算人の登記を行います。この場合、清算人の登記の申請には、裁判所が選任したことを証する書面と代表清算人の氏名及び住所を証する書面を添付します。

 

判例(73条)

清算人の登記は、解散の登記と同時又は解散の登記の後に行います。解散前に清算人を登記することはできません。

 

清算結了の登記(75条)

清算結了の登記の申請は、清算結了の決算報告について株主総会の承認があったことを証する書面(議事録)を添付して行います。

 

・先例(75条)

清算結了の登記は、解散の登記から2か月以上経過しなければ、登記することはできません。(債権者への債権の申し出の公告が必要であり、その期間が2か月以上とされているため。)

解散の登記から2か月以内の申請を誤って登記してしまった場合は、登記官の職権による抹消を行うことができず、申請によって抹消しなければなりません。

 

判例(75条)

清算結了の登記を行った場合であっても、直ちに会社が消滅することはなく、残余財産がある間は、会社は依然として存続することになります。(大判大正8.12.12)

商業登記法 株式会社の登記 その8

商業登記法57条 株式会社の登記

 

新株予約権の行使による変更の登記(57条)

新株予約権の行使による変更の登記の申請に必要な書類は以下の通りです。

新株予約権の行使があったことを証する書面

②金銭を新株予約権の行使に際して出資の目的とすることは、払い込みがあったことを証する書面

③金銭以外の財産を出資の目的とする場合は、以下の書面

イ,検査役が選任された場合は、検査役による調査報告書

ロ,出資の目的が有価証券の場合は、市場価格を証する書面

ハ,現物出資財産の価額が相当であることについて、弁護士、公認会計士、税理士(法人含む)の証明を受けた場合は、その証明書(資格証明書を添付する必要はありません。)

ニ,出資の目的が株式会社に対する金銭債権(弁済期の到来しているもの)であり、当該金銭債権の募集事項に定められた価額が当該金銭債権の負債額を超えない場合は、当該金銭債権について記載された会計帳簿

ホ,金銭以外の現物財産を出資の目的とし、その現物財産の価額が新株予約権の行使に不足する場合は、差額に相当する金銭を払い込んだことを証する書面

④検査役の報告に関する裁判があった場合は、その謄本

 

・先例(57条)

新株予約権の払込金額のうち、資本金に計上しない額を定めた場合における新株予約権の行使による変更の登記の申請には、新株予約権の募集事項を決定した株主総会の議事録を添付する必要があります。(株主総会で募集新株予約権の内容を決定する際に、資本金に計上しない額を定めるため。)

商業登記法 株式会社の登記 その7

商業登記法56条 株式会社の登記

 

・募集株式の発行による変更の登記(56条)

募集株式の発行による変更の登記の申請に必要な書類は以下の通りです。

①募集株式の引き受けの申し込み又は総引受契約を証する書面

②金銭を出資の目的とする場合は、払い込みを証明する書面

③金銭以外を出資の目的とする場合は、

イ,検査役が選任された場合は、検査役による調査報告書

ロ,出資の目的が有価証券の場合は、市場価格を証する書面

ハ,現物出資財産の価額が相当であることについて、弁護士、公認会計士、税理士(法人含む)の証明を受けた場合は、その証明書(資格証明書を添付する必要はありません。)

ニ,出資の目的が株式会社に対する金銭債権(弁済期の到来しているもの)であり、当該金銭債権の募集事項に定められた価額が当該金銭債権の負債額を超えない場合は、当該金銭債権について記載された会計帳簿

④検査役の報告に関する裁判があったときは、その謄本

⑤公開会社が募集株式の発行を行い、特定引受人による引き受けに反対する株主がいる場合であって、当該公開会社の財務状況が悪化しているため、株主総会の決議を必要としない場合に該当しているときは、該当しないことを証する書面

(※特定引受人…公開会社の募集株式を引き受けたときに議決権の1/2を有することになる引受人のこと。特定引受人に関する株主総会の決議は議決権を有する株主の議決権の過半数の出席、かつ、出席した議決権の過半数で可決されます。)=会社法206条の2

 

・先例(56条)

公開会社が第三者割当の方法で募集株式を発行する場合で、募集要項として定めた払込金額が当該第三者に有利であるときであっても、募集株式の発行による変更の登記の申請には、株主総会の特別決議に係る議事録を添付する必要はありません。(公開会社が株主総会の決議を経ないでした新株発行は無効ではないため。)

公開会社が2週間以上の払込期日を設けないで新株発行を行う場合において、総株主の同意が得られているときは、同意があったことを証する書面を添付し、募集株式の発行による変更の登記の申請を行います。なお、この場合、払込期日の通知又は公告をしたことを証する書面の添付は不要です。

払込期日前にすべての払い込みが終了していたとしても、期日前に登記を行うことはできません。ただし、取締役会で払込期日を繰り上げる決議をした議事録を添付する場合は、登記を行うことが可能です。

払込期日を延長する場合、延長を決議した取締役会の議事録の他、申込人の同意書を添付しなければ、募集株式の発行による変更の登記の申請はできません。

商業登記法 株式会社の登記 その6

商業登記法55条 株式会社の登記

 

・一時会計監査人の職務を行うべき者の変更の登記(55条)

一時会計監査人の職務を行うべき者は、会計監査人の員数が欠けた場合で遅滞なく後任の会計監査人が選任されなかったときに、監査役によって選任されます。(会社法346条4項)

一時会計監査人の職務を行うべき者の就任による変更の登記に必要な書面は以下の通りです。

①その就任に関する書面

②就任を承諾したことを証する書面

③その者が法人であるときは、登記事項証明書。ただし、会社と登記所の管轄が同一である場合は不要です。

④その者が法人でないときは、公認会計士であることを証する書面。

一時会計監査人の職務を行うべき法人の名称変更を行う場合は、③の書面を添付して変更の登記を申請します。また、一時会計監査人の退任の登記の申請には、退任を証する書面が必要です。

 

会社法346条4項の規定があるため、遅滞なく後任の会計監査人が選出されなかったときに限り、一時会計監査人の職務を行うべき者の登記ができます。そのため「①その就任に関する書面」は、遅滞なく後任の会計監査人が選出されなかったことを証する内容でなければならず、会計監査人の員数を欠く前に一時会計監査人の職務を行うべき者をあらかじめ選出することはできません。

商業登記法 株式会社の登記 その5

商業登記法54条 株式会社の登記

 

・取締役等の変更の登記(54条)

取締役等の役員(取締役、代表取締役、特別取締役、監査等委員設置会社の監査等委員である取締役とそれ以外の取締役、指名委員会等設置会社の各委員、執行役、代表執行役)の就任による変更の登記の申請には、それぞれが就任を承諾したことを証する書面を添付しなければなりません。

会計参与、会計監査人の変更の登記の申請には、就任を承諾した書面のほか、「法人である場合は、登記事項証明書(会社と同じ登記所の管轄である場合は不要)」「法人ではない場合は、社外性を証する書面」を添付します。

会計参与、会計監査人が法人である場合において、その名称を変更するときも上記と同じ書面を添付して申請を行います。

役員及び会計参与、会計監査人が退任する場合は、退任を証する書面を添付します。

 

・法的効力について(54条)

取締役の互選によって代表取締役を選任する定款の定めのある取締役会を設置しない株式会社が当該定款の定めを廃止した場合において、定款の定め又は株主総会の決議によって代表取締役を選任しなかったときは、法的効力として従前代表権を持たなかった取締役にも当然に代表権が生じます。この場合、従前代表権を持たなかった取締役は「代表権付与」の変更の登記の申請を行わなければならず、法的に当然生じた代表権であるため、就任を承諾したことを証する書面の添付は要しません。

 

・先例(54条)

株主総会にて取締役、監査役の増員が決議され、同株主総会にてそれらの者が就任を承諾した場合、増員に伴う変更の登記の申請書には株主総会議事録を添付すれば足り、定款は必要ありません。

取締役の選任を図る株主総会にて、満場一致で議長の指名に一任され、議長の指名にて選出された者が就任の承諾をした旨の議事録を添付してする変更の登記は受理されます。一方で、一任された議長が後日選任又は解任をした取締役の変更の登記は受理されません。株主総会中に議長が指名する必要があります。

代表取締役が1名である会社の代表取締役が死亡したことによる変更の登記は、後任者が決定した日から起算して2週間以内に申請する必要があります。

役員の任期が定時株主総会終結の時までと定款に定めがある株式会社において、役員の改選を行う定時株主総会の議事録から、任期満了する日が明らかである場合は、退任に伴う変更の登記の申請に定款を添付することを要しません。(議事録中に任期満了による退任の記載がない場合は、定款の添付を要します。)

取締役が任期満了又は辞任し、後任の取締役が就任した場合であっても、法律又は定款に定める員数を欠くときは、退任に伴う変更の登記の申請は受理されませんが、新たに就任した取締役の変更の登記の申請は受理されます。

会計監査人が退任し、法律又は定款に定める員数を欠くことになる場合は、権利義務を有する者とはならないため、退任の日から2週間以内に退任に伴う変更の登記を行う必要があります。

代表取締役の死亡により、取締役としての権利義務を有する者が代表取締役に就任した場合は、代表取締役への就任に伴う変更の登記の申請は受理されます。その代表取締役が退任する場合は「①後任の取締役が就任したことで、代表取締役の資格を喪失した場合は、取締役としては任期満了の日、代表取締役としては後任者就任の日」「②代表取締役が死亡した場合は、取締役としては任期満了の日、代表取締役としては死亡日」「③代表取締役のみを辞任又は解任した場合は、辞任又は解任の日」をもって退任の日とします。

 

判例(54条)

同一監査役が再選重任する場合、変更の登記が必要です。(大決明治34.7.8)

取締役が再選され重任する場合、変更の登記が必要です。(大決大正6.6.22)

株式会社の取締役に対する職務執行停止及び代行者選任の仮処分の効力がある間に当該取締役が辞任した後、株主総会にて同一人物を再度取締役に選任することは有効です。(最判昭和47.2.3)

取締役はいつでも辞任することができ、その効力は、会社に対する意思表示によって直ちに生じ、株主総会の決議を必要としません。(大判大正13.12.5)

取締役又は監査役の任期満了又は解任により退任し、法律又は定款に定める員数を欠くことになる場合は、当該取締役又は監査役はなおその権利義務を有する者となり、後任の者が新たに就任するまで、退任に伴う変更の登記の申請は受理されません。(最判昭和43.12.24)