会社法 募集株式の発行等 その2

会社法200条 募集事項の決定の委任

 

・募集事項の決定の委任

特定の募集事項のみを株主総会で決定し、他は取締役(取締役会設置会社の場合は取締役会)へ委任することができます。この場合、株主総会で決定する特定の募集事項は、募集株式数の上限払込金額の下限です。

〇株以上は発行できない、払込金額は〇円以上、残りの事項は取締役に決めてもらう、という形になります。発行数の上限と最低金額さえ定めておけば、既存株主は一定の持株比率を維持できますし、保有株式の時価はある程度維持することができます。

仮にこの取り決めがなければ、取締役は1円で何万株でも株式を発行できることになり、既存株主の株式が紙切れと化します。

 

 

・委任事項の効力期限

上記の委任を行う場合において、委任の効力は株主総会の特別決議から1年以内となっています。募集株式の払込期日又は払込期間の末日が決議の日から1年以内の募集である場合のみ、効力があります。

委任を行う場合「株主総会決議→取締役が募集事項を決定→募集公示→払込期日」という流れになりますが、あくまで払込期日が株主総会から1年以内かどうかで効力の有無を決定します。募集事項の決定日や募集公示日ではありません。

 

・その他の事項

募集事項の決定を委任した場合であっても、引受人に有利な募集価格である場合の取締役による説明義務は同様に課せられます。また、2種類以上の種類株式を発行する非公開会社が種類株式を募集する場合の種類株主総会の特別決議も必要です。(前ページ参照