会社法 剰余金の配当 その2

会社法459条~ 剰余金の配当

 

・剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め(459条)

本来、剰余金の配当の決定権限は株主総会ですが、株主が多数いる場合等、すべてを株主総会で決定するには、手続きが煩雑となることがあります。

そのため、以下のすべてを満たす会社の場合は、剰余金の配当に関する事項の決定を取締役会の決議とする旨を定款に定めることができます。

①会計監査人設置会社であること。

②取締役(監査等委員である取締役を除く)の任期が1年以内であること。

監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社のいずれかあること。

④会社計算規則155条の要件を満たしていること。(詳細は割愛しますが、適正な監査が行われているという内容。)

 

・取締役会が決定できる他の事項(459条)

上記①~④を満たす会社は剰余金の配当の決定の他、取締役会が下記の事項について、決定権限を持つ旨の定款の定めをすることができます。

①株主との同意による自己株式の取得(特定の株主からの取得は株主総会の特別決議です。)

②資本金の欠損を準備金で補填する場合における準備金の減少額と効力発生日(会計書類等の承認を行う取締役会に限ります。)

③資本金、準備金に充てない場合における剰余金の処分

④剰余金の配当に関する事項(ただし、配当財産が金銭以外の場合は、金銭分配請求権を与えなければなりません。)

 

・株主の権利の制限(460条)

剰余金の配当に関する事項の決定を取締役会が行うと定款に定めた場合、株主総会にて剰余金の配当に関する事項の決定権限を与えない旨を定款に定めることができます。

上記のように株主総会の権限を制限する定款の定めをしなかった場合、取締役会と株主総会のどちらでも剰余金の配当に関する事項を決定できます。