会社法 剰余金の配当 その3

会社法461条~ 剰余金の配当等

 

・配当等の制限(461条)

会社の資産を配当等によって株主に対して払い出すと、会社の財産が目減りしてしまい、会社の債権者が債権を回収する機会を失いかねません。そのため、会社財産の払い出しの効力発生日における分配可能額を超える配当等を行ってはならないとされています。分配可能額の詳細な計算方法が出題されるとは思えないので、割愛しますが、ざっくり言うと「資本金に欠損が出ない範囲で払い出しても良い剰余金の限度額」です。

 

分配可能額を超えた配当等の制限がかかる会社の行為は以下の通りです。

①株主又は取得者による譲渡制限株式の譲渡を認めない場合の当該株式の買い取り。

②株主との合意による自己株式の取得のうち、子会社からの取得又は公開買付、市場からの取得の場合。

③株主に通知を行ってする自己株式の取得又は株主総会の特別決議に基づく特定株主からの自己株式の取得。

株主総会の決議に基づいて行われる全部取得事項株式を取得する場合で、対価を無償若しくは他の種類株式以外とする取得。

⑤相続又は一般承継により株式を取得した者に対する売渡請求による取得。

⑥所在不明株主の株式を競売によって取得する場合。

⑦会社の行為によって生じた1に満たない株式の買い取り。

⑧その他法令に定める場合。

 

ざっくり言うと、自己株式を取得する場合の対価の支払いが、分配可能額を超えるような場合は制限がかかります。自己株式の場合に制限されますが、自己新株予約権を取得する場合は、制限がかかりません

 

・剰余金の配当等に関する責任(462条)

461条に違反して、分配可能額を超えた分配を受けた株主及び分配を行った業務執行者(業務執行取締役又は指名委員会等設置会社の執行役、もしくはこれらに準ずる者)は、連帯して会社に帳簿価額に相当する金額を支払う義務を負います。また、分配可能額を超えた分配を行うことを株主総会に提案した取締役も業務執行者と同様の義務を負うことになります。(以下、提案した取締役と業務執行者を合わせて「業務執行者等」とします。

業務執行者等は、その職務を行うにあたり、注意を怠らなかったことを証明した場合には、支払い義務を逃れます。

業務執行者等は注意を怠らなかったことを証明したとき以外に、支払い義務を免除されることはありません。ただし、分配可能額を上限として、総株主の同意を得られた場合に限り、免除されます。総株主の同意が得られたとしても、分配可能額を超えた金額は免除されません。