会社法 役員等の損害賠償責任 その4

会社法427条 責任限定契約

 

・責任限定契約(427条)

 役員等が責任の免除を受けるには、総株主の同意が必要です。しかし、業務を執行しない非業務執行取締役等(非業務執行取締役、監査役、会計参与、会計監査人のことを指す)に関する損害賠償責任は、定款に定めることで、責任の限度額を「定款に定めた額の範囲内であらかじめ会社が定めた額又は最低責任限度額のいずれか高い額」とすることができます。なお、本定款の定めは登記事項です。

主に社外の人材が非業務執行取締役等に就くため、それら社外の人材が安心して会社と契約を結べるようにする法律です。

ただし、非業務執行取締役等が契約の更改等によって、業務執行を担うようになった場合、将来に向かって責任限定契約の効力は失われます。非業務執行取締役等であっても、たまたま業務執行に関わってしまった場合、契約が変更されたと解されることもあるため、注意が必要です。

非業務執行取締役の責任が限定される場合は、以下の通りです。

①非業務執行取締役等が職務を行うにあたり、善意無過失であること

②定款の定めに基づいて責任限定契約が交わされていること

 

・責任限定契約に関する定款の定め(427条)

責任限定契約に関する定款変更については、株主総会の特別決議が必要です。株主総会への議案提出の際には、監査役(監査等委員、監査委員含む)がいる場合、監査役全員の同意が必要です。いなければ同意は不要です。

 

・株主への事後通知(427条)

実際に責任限定契約を締結した非業務執行取締役等の責任を免除した場合、責任免除を行った後の最初に招集される株主総会で通知しなければなりません。あえてこのために臨時株主総会を招集する必要はありません。通知事項は「責任の原因と賠償額」「免除される限度額とその算定根拠」「責任限定契約の内容と契約締結理由」「免除を受けた金額」の4点です。

 

・425条4項5項の準用(427条)

非業務執行取締役等が責任の免除を受けた場合、退職金の支給、新株予約権の行使、譲渡を行うためには、株主総会の決議が必要となります。