・清算人の就任(478条)
清算人になることができる者は「取締役」「定款で定める者」「株主総会の決議により選任された者」のいずれかです。
取締役がおらず、定款で定められておらず、かつ株主総会の決議によっても清算人がいない場合は、裁判所が清算人を選任します。裁判所が清算人を選任するには、利害関係人の申し立てが必要です。
会社が解散命令によって清算を開始する場合、法務大臣又は利害関係人の申し立てにより裁判所が清算人を選任します。解散命令によって清算が開始される場合は取締役が清算人に就任することはできません。
また、監査等委員又は監査委員であった取締役が清算人となることはできません。監査等委員又は監査委員であった取締役は清算が開始されると監査役になるからです。
監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社であった会社の清算が開始されると、監査等委員、監査委員はそのまま監査役となりますが、清算会社の場合であっても3名以上の監査役、その半数は社外性を維持する必要があります。つまり、監査等委員会、監査委員会の名称はなくなっても、同様の組織を残す必要があるということです。
清算人の資格要件は取締役と変わりません。また、清算人会も3名以上でなければなりません。
・清算人の解任(479条)
清算人は株主総会の決議によっていつでも解任することができます。ただし、裁判所によって選任された清算人は株主総会の決議によって解任することはできません。自ら辞任することはできます。辞任する場合であったとしても、裁判所の許可は必要ありません。
下記の株主は重要な事由がある場合に限り、清算人の解任を裁判所へ申し立てることができます。
①議決権の100分の3以上の株式を継続して6か月以上保有している株主で「清算人解任の議決権を行使できない株主」「清算人である株主」以外である者。
②発行済株式の100分の3以上の株式を継続して6か月以上保有している株主で「清算会社」「清算人である株主」以外である者。
ただし、非公開会社の場合は、保有期間要件はありません。
清算人が辞任した場合で、規定される清算人数を満たさなくなる場合は、辞任した清算人はなお清算人としての権利義務を有することとなります。清算人が辞任した場合、利害関係人の申し立てによって、裁判所は清算人を新たに任命することもできます。
・監査役の退任(480条)
公開会社又は大会社であった清算会社は、必ず監査役を置かなければなりませんが、その他の会社であれば、監査役の設置は必要としません。また、清算会社になった時点で、監査役の任期の規定はなくなります。退任に係る定款変更がない限り、清算結了まで監査役をしなければなりません。
そのため、以下の定款の変更があった場合には、効力発生日に監査役は退任します。
①監査役を置く旨の定款の定めの廃止
②監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定めの廃止