会社法453条~ 剰余金の配当
・株主に対する剰余金の配当(453条)
株式会社は、株主に対して剰余金の配当をすることができます。ただし、自己株式に対しては剰余金の配当をすることができません。自己株式以外は配当を受けることができるため、会社がその子会社や親会社の株式を保有していれば、それらの配当は受けることができます。
・剰余金の配当に関する事項の決定(454条)
会社が剰余金の配当を行う場合、その都度、株主総会の決議によって以下の事項を決定しなければなりません。
①配当する財産の種類、帳簿価額の総額(自己株式を配当することはできません。子会社株式なら可。)
②株主に対する剰余金の割り当てに関する事項
③剰余金配当の効力発生日
取締役会設置会社は、年に1回限り、取締役会の決議によって剰余金の配当(=中間配当、金銭であるものに限る。)をすることができる旨を定款に定めることができます。中間配当を行う場合も上記①~③を定める必要があります。
種類株式発行会社の場合、種類ごとに異なる配当をすることができます。それぞれの種類株式ごとに内容を決めなければなりません。
配当内容が金銭以外の財産の場合、株主総会の決議によって以下の事項を定めることができます。
①株主に対して金銭配当請求権を与える場合は、その旨と請求期間
②一定の数未満の株式を保有する株主に配当割当てをしない場合は、その旨と株式数
・金銭配当請求権の行使(455条)
会社は剰余金の配当に際し、株主へ金銭配当請求権を与えた場合、その請求期間を20日以上とした上で通知する必要があります。
株主が金銭配当請求権を行使した場合、会社は金銭によって支払う義務があります。
株主へ交付する金銭は、配当財産が市場価格のある財産であった場合はその市場価格によって、市場価格のない財産であった場合は会社の申し立てによって裁判所が定める価額によって支払われます。
・基準株式数を定めた場合(456条)
金銭以外を配当するにあたり、一定の数未満の株式を保有する株主に対して配当を行わない場合、当該株主に対しては、金銭をもって配当を行わなければなりません。その金額の決定は455条による配当財産の価額の決定方法によります。
・配当財産の交付(457条)
配当財産(株主の請求により金銭配当を行う場合も含む)は株主名簿上の株主の住所又は株主の指定する場所にて引き渡されます。引き渡しに係る費用は会社の負担ですが、株主の責めに帰す事由により、負担額が増えた場合は、増えた分は株主の負担です。
・適用除外(458条)
純資産が300万円未満の会社は剰余金の配当の適用が除外されます。(配当しなくていいことになります。)