会社法 吸収合併等の手続き その3

会社法789条 吸収合併等の手続き

 

・債権者の異議(789条)

消滅会社等の債権者は下記に定める場合には、吸収合併等を行うことについて異議を述べることができます。

①吸収合併をする場合…吸収合併消滅会社の債権者は異議を述べることができます。

②吸収分割をする場合…吸収分割後に吸収分割株式会社に対して、債務の履行を請求することができない債権者は異議を述べることができます。ただし、吸収分割株式会社が債務を吸収分割承継会社に承継させず、債務をそのまま分割会社側で引き受ける場合は、債権者は異議を述べることはできません。(※後述あり。)

株式交換をする場合…株式交換完全子会社の新株予約権者が株式交換完全親会社の新株予約権の交付を受けることができる株式交換契約新株予約権保有している場合であって、当該株式交換契約新株予約権新株予約権社債であるときは、社債権者は異議を述べることができます。(簡単に言うと、新株予約権社債との交換対価がただの新株予約権のみだった場合は、社債部分が保護されないので、異議を述べることができるということです。)

※②については、例外として、人的分割(吸収分割承継会社の株式を吸収分割消滅会社の株主に交付する分割方式)を行う場合には、債権者は引き続き吸収分割会社に対して債務の履行を請求できますが、吸収分割に対して異議を述べることもできます。(吸収分割会社の財産が社外に流出するため。=承継会社の株式を株主に交付することで流出します。)

①~③の債権者、社債権者に対しては、消滅会社等は債権者保護手続きを行わなければなりません。

 

・吸収合併等の効力発生日の変更(790条)

消滅株式会社等は存続会社等との合意により、吸収合併等の効力発生日を変更することができます。存続会社等が取締役会設置会社である場合には、取締役会の決議が必要です。取締役会の設置がない場合、取締役の過半数の同意が必要です。

効力発生日の変更は、公告義務があります。

 

・剰余金の配当に関する特則(792条)

いわゆる人的分割を行う場合、本来は剰余金の配当可能額を超えた配当を行うことはできませんが、承継会社の株式の配当にあたっては、配当可能額を超えても良いとされています。

 

持分会社の手続き(793条)

持分会社が吸収合併、吸収分割を行う場合は、総社員の同意が必要です。

吸収合併を行う場合は、持分会社が消滅する場合に限り、すべての持分会社が行うことができます。

吸収分割は合同会社のみ行うことができます。