商業登記法 株式会社の登記 その5

商業登記法54条 株式会社の登記

 

・取締役等の変更の登記(54条)

取締役等の役員(取締役、代表取締役、特別取締役、監査等委員設置会社の監査等委員である取締役とそれ以外の取締役、指名委員会等設置会社の各委員、執行役、代表執行役)の就任による変更の登記の申請には、それぞれが就任を承諾したことを証する書面を添付しなければなりません。

会計参与、会計監査人の変更の登記の申請には、就任を承諾した書面のほか、「法人である場合は、登記事項証明書(会社と同じ登記所の管轄である場合は不要)」「法人ではない場合は、社外性を証する書面」を添付します。

会計参与、会計監査人が法人である場合において、その名称を変更するときも上記と同じ書面を添付して申請を行います。

役員及び会計参与、会計監査人が退任する場合は、退任を証する書面を添付します。

 

・法的効力について(54条)

取締役の互選によって代表取締役を選任する定款の定めのある取締役会を設置しない株式会社が当該定款の定めを廃止した場合において、定款の定め又は株主総会の決議によって代表取締役を選任しなかったときは、法的効力として従前代表権を持たなかった取締役にも当然に代表権が生じます。この場合、従前代表権を持たなかった取締役は「代表権付与」の変更の登記の申請を行わなければならず、法的に当然生じた代表権であるため、就任を承諾したことを証する書面の添付は要しません。

 

・先例(54条)

株主総会にて取締役、監査役の増員が決議され、同株主総会にてそれらの者が就任を承諾した場合、増員に伴う変更の登記の申請書には株主総会議事録を添付すれば足り、定款は必要ありません。

取締役の選任を諮る株主総会にて、満場一致で議長の指名に一任され、議長の指名にて選出された者が就任の承諾をした旨の議事録を添付してする変更の登記は受理されます。一方で、一任された議長が後日選任又は解任をした取締役の変更の登記は受理されません。株主総会中に議長が指名する必要があります。

代表取締役が1名である会社の代表取締役が死亡したことによる変更の登記は、後任者が決定した日から起算して2週間以内に申請する必要があります。

役員の任期が定時株主総会終結の時までと定款に定めがある株式会社において、役員の改選を行う定時株主総会の議事録から、任期満了する日が明らかである場合は、退任に伴う変更の登記の申請に定款を添付することを要しません。(議事録中に任期満了による退任の記載がない場合は、定款の添付を要します。)

取締役が任期満了又は辞任し、後任の取締役が就任した場合であっても、法律又は定款に定める員数を欠くときは、退任に伴う変更の登記の申請は受理されませんが、新たに就任した取締役の変更の登記の申請は受理されます。

会計監査人が退任し、法律又は定款に定める員数を欠くことになる場合は、権利義務を有する者とはならないため、退任の日から2週間以内に退任に伴う変更の登記を行う必要があります。

代表取締役の死亡により、取締役としての権利義務を有する者が代表取締役に就任した場合は、代表取締役への就任に伴う変更の登記の申請は受理されます。その代表取締役が退任する場合は「①後任の取締役が就任したことで、代表取締役の資格を喪失した場合は、取締役としては任期満了の日、代表取締役としては後任者就任の日」「②代表取締役が死亡した場合は、取締役としては任期満了の日、代表取締役としては死亡日」「③代表取締役のみを辞任又は解任した場合は、辞任又は解任の日」をもって退任の日とします。

 

判例(54条)

同一監査役が再選重任する場合、変更の登記が必要です。(大決明治34.7.8)

取締役が再選され重任する場合、変更の登記が必要です。(大決大正6.6.22)

株式会社の取締役に対する職務執行停止及び代行者選任の仮処分の効力がある間に当該取締役が辞任した後、株主総会にて同一人物を再度取締役に選任することは有効です。(最判昭和47.2.3)

取締役はいつでも辞任することができ、その効力は、会社に対する意思表示によって直ちに生じ、株主総会の決議を必要としません。(大判大正13.12.5)

取締役又は監査役の任期満了又は解任により退任し、法律又は定款に定める員数を欠くことになる場合は、当該取締役又は監査役はなおその権利義務を有する者となり、後任の者が新たに就任するまで、退任に伴う変更の登記の申請は受理されません。(最判昭和43.12.24)