商業登記法 株式会社の登記 その9

商業登記法71条~ 株式会社の登記

 

・株式会社の解散の登記(71条)

解散の登記において、登記すべき事項は「解散の旨と解散事由」「解散年月日」です。

定款に定めた解散事由の発生による解散の登記の申請には、その事由の発生を証する書面を添付します。

代表清算人の申請による解散の登記を行う場合は、その資格を証する書面を添付します。ただし、取締役が清算人になった場合(会社法478条1項による)又は代表取締役が代表清算人になった場合(会社法483条4項による)は、その資格を証する書面の添付は要しません。

 

・職権による解散の登記(72条)

休眠会社のみなし解散による解散の登記は、登記官が職権で行います。

 

清算人の登記(73条)

清算人の登記の申請には、常に定款を添付しなければなりません。(特例有限会社株主総会で選任された清算人の登記の場合に限り、定款の添付は不要です。レアパターン。)

定款で定める者又は株主総会で選出された者が清算にになる場合は、その就任を承諾したことを証する書面を添付します。取締役がそのまま清算人になった場合は不要です。

裁判所が選任した者が清算になった場合であっても、申請によって清算人の登記を行います。この場合、清算人の登記の申請には、裁判所が選任したことを証する書面と代表清算人の氏名及び住所を証する書面を添付します。

 

判例(73条)

清算人の登記は、解散の登記と同時又は解散の登記の後に行います。解散前に清算人を登記することはできません。

 

清算結了の登記(75条)

清算結了の登記の申請は、清算結了の決算報告について株主総会の承認があったことを証する書面(議事録)を添付して行います。

 

・先例(75条)

清算結了の登記は、解散の登記から2か月以上経過しなければ、登記することはできません。(債権者への債権の申し出の公告が必要であり、その期間が2か月以上とされているため。)

解散の登記から2か月以内の申請を誤って登記してしまった場合は、登記官の職権による抹消を行うことができず、申請によって抹消しなければなりません。

 

判例(75条)

清算結了の登記を行った場合であっても、直ちに会社が消滅することはなく、残余財産がある間は、会社は依然として存続することになります。(大判大正8.12.12)