商業登記法 株式会社の登記 その7

商業登記法56条 株式会社の登記

 

・募集株式の発行による変更の登記(56条)

募集株式の発行による変更の登記の申請に必要な書類は以下の通りです。

①募集株式の引き受けの申し込み又は総引受契約を証する書面

②金銭を出資の目的とする場合は、払い込みを証明する書面

③金銭以外を出資の目的とする場合は、

イ,検査役が選任された場合は、検査役による調査報告書

ロ,出資の目的が有価証券の場合は、市場価格を証する書面

ハ,現物出資財産の価額が相当であることについて、弁護士、公認会計士、税理士(法人含む)の証明を受けた場合は、その証明書(資格証明書を添付する必要はありません。)

ニ,出資の目的が株式会社に対する金銭債権(弁済期の到来しているもの)であり、当該金銭債権の募集事項に定められた価額が当該金銭債権の負債額を超えない場合は、当該金銭債権について記載された会計帳簿

④検査役の報告に関する裁判があったときは、その謄本

⑤公開会社が募集株式の発行を行い、特定引受人による引き受けに反対する株主がいる場合であって、当該公開会社の財務状況が悪化しているため、株主総会の決議を必要としない場合に該当しているときは、該当しないことを証する書面

(※特定引受人…公開会社の募集株式を引き受けたときに議決権の1/2を有することになる引受人のこと。特定引受人に関する株主総会の決議は議決権を有する株主の議決権の過半数の出席、かつ、出席した議決権の過半数で可決されます。)=会社法206条の2

 

・先例(56条)

公開会社が第三者割当の方法で募集株式を発行する場合で、募集要項として定めた払込金額が当該第三者に有利であるときであっても、募集株式の発行による変更の登記の申請には、株主総会の特別決議に係る議事録を添付する必要はありません。(公開会社が株主総会の決議を経ないでした新株発行は無効ではないため。)

公開会社が2週間以上の払込期日を設けないで新株発行を行う場合において、総株主の同意が得られているときは、同意があったことを証する書面を添付し、募集株式の発行による変更の登記の申請を行います。なお、この場合、払込期日の通知又は公告をしたことを証する書面の添付は不要です。

払込期日前にすべての払い込みが終了していたとしても、期日前に登記を行うことはできません。ただし、取締役会で払込期日を繰り上げる決議をした議事録を添付する場合は、登記を行うことが可能です。

払込期日を延長する場合、延長を決議した取締役会の議事録の他、申込人の同意書を添付しなければ、募集株式の発行による変更の登記の申請はできません。