憲法76条~ 司法
・司法権、裁判所、特別裁判所の禁止、裁判官の独立(76条)
すべての司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
②特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
③すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
・判例(76条)
国会の法案審議において、議場が混乱したまま可決された場合であったとしても、両院で適法な手続きのもと公布されたものである以上、裁判所は、法律制定の議事手続に関する事実を審理することはできません。(最判昭和37.3.7)
国家試験の合否の判定は、裁判所の裁判を受ける事柄ではなく、試験実施機関の最終判断に委ねられるべきものであるため、法令を適用して解決できる「法律上の訴訟」の要件を欠いています。(最判昭和41.2.8)
ある特定の宗教法人について、裁判所が、当該宗教法人の規則に定める宗教活動上の地位を有するかどうかを判断するにあたり、それが一般市民法秩序と直接の関係を有するものである限り、審理の対象とすることができます。(最判昭和55.4.10)
宗教上の教義や信仰が訴訟の帰趨(きすう=行きつくところ)を左右する必要不可欠なものである場合、その核心を法令の適用によって判断することはできず、法律上の訴訟には当たりません。(最判昭和56.4.7)
政党が党員にした除名処分は、それが自治的措置によるものであり、一般市民法秩序と関係を有さないものである場合、その有効性について、裁判所は審理の対象とすることはできません。(最判昭和63.12.20)
裁判官は憲法及び法律のみに拘束されるとするなら、憲法が一般国民の司法参加を認めており、裁判員法が憲法に適合するように制度化されている以上、裁判員が評決を下した結果によって、裁判官が自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があったとしても、それは憲法に適合する法律によって拘束されるものであるから、裁判員制度は憲法に違反しません。(最判平成23.11.16)