憲法 国民の権利及び義務 その5

憲法20条~ 国民の権利及び義務

 

・信教の自由(20条)

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

②何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

③国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 

判例(20条)

殉職自衛官の合祀は、宗教的意識も希薄であり、その行為が特定の宗教を助長し、他の宗教に圧迫干渉を加えるものではなく、憲法が規定する「宗教的活動」とまではいえません。(最判昭和63.6.1)

高等学校教育で実施される剣道実技の拒否に関し、それが宗教的理由であった場合、その教育目的の達成は代替的方法によっても性質上可能です。それにも関わらず、正当な理由のない履修拒否とみなして体育科目を不認定とした上で退学処分を下した場合、考慮すべき事項を考慮しておらず、社会通念上の合理性、妥当性を欠くものです。(最判平成8.3.8)

国家は宗教的に中立であることが求められますが、国家と宗教の関係を完全に絶つことは事実上不可能であり、かえって社会生活に不合理な事態を生じさせるため、政教分離原則は、国家が宗教とのかかわりを全く許さないという性質のものではありません。(最判昭和52.7.13)

神社が境内で行う祭祀に当たり、玉串料を奉納することは、慣習化した社会的儀礼であるとは言えません。県の名前を示して行う玉串料の奉納は、その目的が宗教的意義を持ち、その効果が特定の宗教に対する援助・助長・促進になるものと認められ、憲法が禁止する宗教的活動に当たります。(最判平成9.4.2)

特定の宗教法人に対する解散命令は、その宗教法人の活動が大量殺人を目的に毒ガスのサリンを大量生成し散布する等の著しく公共の福祉を害することが認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱するものである場合、たとえ解散によって宗教上の行為が行えなくなる等の結果をもたらしたとしても、憲法20条に違反しません。(最決平成8.1.30)