刑法 窃盗及び強盗の罪 その2

刑法236条~ 強盗

 

・強盗(236条)

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処します。同じ方法を用いて、財産上の不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も同様です。

強盗罪の成立には、社会通念上、被害者の反抗を抑圧するに足りる暴行又は脅迫を加え、それによって被害者から財物を強取したことが必要です。

 

判例(236条)

被害者に対し、刃物(鎌やナイフなど)を突きつけて「静かにしろ」「金を出せ」と脅迫し、金品を強奪した場合、強盗罪が成立します。(最判昭和23.11.18)

会社の事務所に押し入り、居合わせた事務員を全員縄で縛り、そこにあった衣類を着込み、その他の物は荷造りして持ち出せる状態にした以上、それらの物を屋外に持ち出さなくても、強盗罪の既遂が成立します。(最判昭和24.6.14)

債務者が債権者に対してその反抗を抑圧するに足る暴行を加えた結果、債権者から債務の免除又は返済の猶予を得た場合、強盗罪が成立します。(最決昭和32.9.13)

加害者がすでに被害者の財物を奪取して財物の占有を得ていた場合において、さらに被害者に対して拳銃を発砲した時点では、暴行が財物の奪取の手段ではないため、強取には当たりません。ただし、被害者を銃撃して財物の返還請求又は代金の支払いを免脱するという、財産上の不法利益を得る目的が達された時点で、強盗殺人罪(=銃撃で死ななければ強盗殺人未遂罪)を構成します。(最決昭和61.11.18)