刑法 未遂罪

会社法43条~ 未遂罪

 

・未遂減免(43条)

犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった場合、刑を軽減されます。

自己の意思によって犯罪を中止したときは、刑の軽減又は免除されます。

未遂罪は「未遂」「中止未遂」「不能犯」の3パターンを覚えておけばなんとかなりそうです。

 

・未遂

未遂の条件は着手したかどうかです。着手が成立していない限り、その未遂罪は成立しません。

ex)すり窃盗の着手は「相手の財布の外側に手が触れたとき」

ex)保険金詐欺の着手は「保険金の支払い請求を行ったとき」

ex)詐欺の着手は「相手方を貶める目的で勧誘等を行ったとき」

 

・中止未遂(中止犯)

一度着手した犯罪であっても、自己の意思によってその犯罪を中止し、結果の発生を予防した場合に、中止未遂が成立します。

ex)放火の意思を持って火を付けたが恐ろしくなって消し止め、鎮火した。

ex)殺人の意思を持って相手を包丁で刺したが、恐ろしくなって途中でやめ、救急要請をした結果一命をとりとめた。(殺人罪は未遂中止、傷害罪は成立。)

 

不能犯

意思を持って行った行為が犯罪を成立し得ない場合、不能犯となります。

ex)相手を呪い殺すつもりで丑の刻参りをした。

ex)相手を殺すつもりで少量の硫黄粉末を飲み物に混ぜた。(少量の硫黄では人は死なない。殺人罪不能により未成立、傷害罪は成立。)

 

判例(43条)

殺人の目的を持って相手方に毒物を混入した食物を郵送した場合、相手方がこれを受領した時点で殺人罪の実行の着手が認められます。なお、相手方が毒に気付いて食べなかったとしても、殺人未遂罪は成立します。(大判大正7.11.16)

甲と乙が夜間歩行中の婦女丙を強制性交等の目的を持って車に引きずり込んだ場合、丙を車に引きずり込もうとした時点で強制性交等の着手があったものと認められます。なお、この場合、丙が車に引きずり込まれた際に怪我を負った時点で、強制わいせつ等致傷罪が成立します。(最決昭和45.7.28)

甲、乙、丙、丁の4名が強盗を計画し、刃物や縄を準備し、被害者宅へ向かう途中、甲が罪悪感を覚えて引き返した場合であっても、甲にも強盗予備罪が成立し、中止未遂は否定されます。(予備罪には中止未遂の観念を容れる余地がないため。)(最判昭和29.1.20)

窃盗犯が被害者宅に忍び込み、目的物を発見できなかったので、窃取を断念したとしても、中止未遂は成立しません。(大判昭和21.11.27)

殺人の意思を持って相手方を刃物で刺した結果、流血と苦痛の様子に驚き、恐怖して殺害の意図をやめた場合であっても、中止未遂は成立しません。(最決昭和33.9.10)