刑法 犯罪の不成立及び刑の減免 その4

刑法39条~ 責任能力・自首等

 

心神喪失及び心身耗弱(39条)

心神喪失者の行為は、罰されません。心身耗弱者の行為は、その刑を軽減します。

 

判例(39条)

多量に飲酒すると病的酩酊に陥り、他者に犯罪的被害を与えると自認する者は、普段から飲酒を抑止又は制限する注意義務を負うべきと言えます。故に、そのような者がたとえ人を死に至らしめた行為が病的酩酊による心神喪失と認められたとしても、自己の素質を認識しており、かつ、その注意義務を怠ったことが犯行に及んだような場合には、過失致死の罪責を免れることはできません。(最判昭和26.1.17)

 

・責任年齢(41条)

14歳に満たない者の行為は、罰しません。

本人の知的能力は無関係に14歳を超えると刑罰則が適用されます。(もちろん、知的障害等があれば、考慮されますが。)

 

・自首等(42条)

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を軽減することができます。また、告訴以外の方法で公訴の提起ができない罪を犯した者が、告訴ができる者に対して犯罪事実を告げ、その措置を委ねた場合も自首が成立します。

自首の成立要件は「①捜査機関に発覚する前に」「②自発的に」「③捜査機関に対し」「④自己の追訴を含む処分を求めて出頭する」という4つが必要です。

そのため、取調室で刑事さんから「故郷のおふくろさんが泣いてるぞ。早く認めろ。」と自白を促されてから、罪を認めたとしても、すでに捜査機関が捜査を開始してしまっているので、自首は成立しません。

 

判例(42条)

拳銃1丁を実弾と共に所持し、発砲した者が、捜査機関に発覚する前に自己の犯罪事実を捜査機関に申告した場合であって、その際に使用した拳銃に虚偽の事実を述べたとしても、自首は成立します。(最決平成13.2.9)…なお、この判例では自首は成立しても罪の軽減は認められなかったようです。