刑法 共犯 その1

刑法60条~ 共同正犯

 

・共同正犯(60条)

2人以上が共同して犯罪を実行した場合、それらの者は共同正犯として、すべて正犯(=実行しなかった行為から生じた結果についても、刑事責任を問われる)とします。

共同正犯の成立要件は「共同して犯罪を実行した」ことです。

 

判例(60条)

2人以上の者が犯罪を共謀し、その中の1人が実行したときは、実行に加わらなかった他の共謀者も共同正犯となります。(大判昭和11.5.28)

2人以上の者が犯罪を共謀したところ、その中の1名が犯罪からの離脱の意思表示をし、他の者が承諾をした場合は、離脱した者は共犯の罪責を負いません。他方、一方的に離脱の意思表示をし、他の者から承諾を得ず、犯行を防止する措置を講ずることなく離脱した場合は、共謀関係が解消したとは言えません。(最決平成21.6.30)

基本的行為の共謀があれば、たとえその範囲を超えて一定の重い結果が発生したとしても、その結果と基本的行為との間に因果関係が存在し、かつ、それが結果的加重犯を構成する限り、共謀者全員について、結果的加重犯の共同正犯が成立します。(大判昭和3.4.6)

強盗の共犯者の1人が財物奪取の手段として被害者に暴行を加え、傷害を与えたときは、共犯者の全員が強盗致傷罪の共同正犯となります。(最判昭和22.11.5)

共同正犯の成立には、2人以上の者が共同意思の下で互いに他人の行為を利用して、各自の意思を実行することを内容とする謀議をなし、最終的に犯罪を実行した事実が認められる必要があります。それらの者全員が一堂に会して共謀する必要はなく、数人の間で順次共謀が行われた場合であっても、順次共謀を行った者全員に共同正犯が成立します。(最判昭和33.5.28)