憲法 国民の権利及び義務 その6

憲法21条~ 国民の権利及び義務

 

・集会・結社・表現の自由、通信の秘密、検閲の禁止(21条)

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

②検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

判例(21条)

報道の自由憲法21条によって保障されますが、取材テープを刑事裁判の資料として提出させる命令は、公正な刑事裁判を実現させるものであるため、報道の自由より優先されます。(最決昭和44.11.26)

報道関係者の取材源は、みだりに開示されると報道関係者と取材源となる者の信頼関係が損なわれ、将来的な取材活動が困難になる可能性があるため、民事事件の証拠資料として取材源を開示させることが、当該民事事件が社会的影響その他諸般の事情を考慮して相当ではないと認められる限り、報道関係者は、取材源に関する証言を拒絶することができます。(最決平成18.10.3)

知事の交際費は、対外的な行政の円滑な運営を図るために必要な経費であるため、交際費の詳細な内訳を公表することで、対外的な交際・交渉事務の目的が達成されなくなるおそれがある場合、非公表とすることができます。(最判平成6.1.27)

表現の自由憲法により保障されるべきものですが、性的秩序を守り、最小限度の性的道徳を維持する目的にその発行の制限を受けることは、憲法21条に違反しません。(最判32.3.13)

検閲とは、行政権が主体となって思想内容等の表現物の全部又は一部の発表の禁止を目的として、発表前にその内容を審査したうえで不適当と認めるものの発表を禁止することをいいます。(最判昭和59.12.12)

仮処分による事前差止は、司法権による個別的な私人間の紛争について、当事者の申請に基づいて行われるものであるため、検閲にはあたりません。(最判昭和61.6.11)

裁判官によるSNSにおける表現は、その内容がすでに判決が確定した担当外の民事訴訟事件に関し、その内容を十分に検討した形跡を示さずに表面的な情報のみを掲げて一方的な評価を不特定多数の閲覧者に発信し、裁判官がその職務を行うにあたり予断を持って判断をするのではないかという疑念を国民に与えたものである場合、裁判所法における裁判官の品位を辱める行為に該当します。(最決平成30.10.17)

候補者の政見放送のうち、差別用語を用い他人の名誉を傷つけ善良な風俗を害する内容であった場合、NHKがそれらの部分を無断で削除して放送したとしても、法的利益の侵害があったとは言えません。なお、NHKは行政機関ではないため、検閲にはあたりません。(最判平成2.4.17)