民事訴訟法 判決 その4

民事訴訟法249条~ 判決

 

・直接主義(249条)

判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官が行います。

裁判の途中で裁判官が変更となった場合には、変更後の裁判官はそれまでの口頭弁論に関与していないことになってしまいます。そのため、裁判官が代わった場合は、当事者はそれまでの口頭弁論の結果を陳述しなければなりません。(陳述により変更後の裁判官も関与したことになります。)

単独の裁判官の変更又は合議体の裁判官の過半数が変更した場合において、変更前に尋問した証人について、当事者がさらに尋問の申出をしたときは、裁判所はその尋問をしなければなりません

 

判例(249条)

判決の基本である口頭弁論に関与しない裁判官による判決の言渡しは、違法があるものと解されます。(最判昭和32.10.4)

 

・判決の発効(250条)

判決は言渡しによってその効力を生じます。言渡し以外では、判決に効力は生じません。

 

・言渡期日(251条)

判決の言渡しは、口頭弁論の終結日から2か月以内に行わなければなりません。ただし、事件が複雑などの特別の事情があるときは、2か月を超えることが許されます。

判決の言渡しは、当事者が言渡期日に在廷しない場合でも行うことができます。

 

・言渡しの方式(252条)

言渡しは、判決書の原本に基づいて行われます。(一部例外あり。)

 

・言渡しの方式の特則(254条)

以下の場合であって、原告の請求を容認するときに限り、判決書の原本に基づかないで言渡しを行うことができます。

①被告が口頭弁論で原告の主張した事実を争わず、防御の方法をも提出しないとき。

②被告が公示送達の方法で呼び出しを受けたにも関わらず、口頭弁論の期日に出頭しないとき。(ただし、被告が提出した準備書面が口頭弁論において陳述されたとみなされた場合を除く。)

被告が一切争う姿勢を見せないのに判決書を作成するのは、非常に時間がかかります。公示送達で呼び出したのに来ない、という状況でも判決書を作るのは手間になります。そういった場合に「調書判決」の方式で言渡しを行うことができるという規定です。

調書判決では、裁判所書記官が作成する口頭弁論調書上に主文や請求、要旨などを記載します。

 

・判決書等の送達(255条)

判決書又は上記の調書は、当事者に送達しなければなりません。判決書であれば正本、調書判決であれば謄本を送ります。