民事訴訟法 簡易裁判所の訴訟手続きに関する特則 その1

民事訴訟法270条~ 簡易裁判所の訴訟手続きに関する特則

 

・手続きの特色(270条)

簡易裁判所においては、簡易な手続きにより迅速に紛争の解決を図ります。

簡易裁判所の手続きにおいては、この条文が大前提です。

 

・口頭による訴えの提起、訴えの提起において明らかにすべき事項(271条、272条)

簡易裁判所では、訴えは口頭で提起できます。つまり、反訴も口頭で十分です。

簡易裁判所では、請求の原因を明らかにする必要はなく、紛争の要点を明らかにするだけで足ります。

 

・反訴の提起に基づく移送(274条)

簡易裁判所で係属している裁判中に、被告が反訴で地方裁判所が管轄する請求をした場合において、相手方(原告側)の申立てがある場合には、裁判所は決定で本訴と反訴を地方裁判所へ移送しなければなりません。移送の決定を受けた場合は、最初から移送先の裁判所で係属していたものとみなされます(22条)。

なお、この移送の決定に対しては、不服を申し立てることはできません。(お互い了承していますし・・・。)

 

・訴え提起前の和解(275条)

民事上の争いについて、当事者(一方のみで可)は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍を管轄する簡易裁判所へ和解の申立てをすることができます。なお、当事者の一方のみでも和解の期日に出頭しない場合、裁判所は和解が整わなかったものとみなすことができます。

(本人が和解を申し立てて、その本人が来なかったとしても、和解が整わなかったとみなすことができます。相手方のみ来てたとしたら、完全に挑発してますね・・・。)

和解が整わなかった場合において、和解の期日に出頭した当事者双方からの申立てがあるときは、通常の訴訟に移行します。

 

・和解に代わる決定(275条の2)

金銭給付を求める訴えにおいてて、被告が口頭弁論にて返済する旨の陳述(答弁書で返答して欠席した場合も含む)をし、それが相当と認められる場合には、裁判所は、原告の意見を聴いて、5年以内の分割払いや支払い猶予期間を定める決定を出すことができます。

つまり、簡易裁判所では、金銭支払い請求訴訟において、被告が分割払いを求めて原告も認めた場合には、裁判所はその決定を出すことができる、という内容です。

上記について双方から異議がない場合、裁判上の和解と同一の効力を持ちます。

和解に代わる決定も、簡易裁判所にのみ認められた紛争解決方法です。