民事訴訟法 簡易裁判所の訴訟手続きに関する特則 その2

民事訴訟法276条~ 簡易裁判所の訴訟手続きに関する特則

 

準備書面の省略等(276条)

簡易裁判所では、準備書面を用意することを要しません。もちろん、準備しても良いです。

ただし、相手方が準備をしなければ陳述できないと認められる場合には、準備書面を用意しなければなりません。もしくは、口頭弁論前に直接相手方に通知することでこれに代えても良いです。

相手方が在廷していない口頭弁論の場合、準備書面(相手方に伝わっているものに限る)に記載されている事項又は通知されている事項以外は主張することができません。

 

・続行期日における陳述の擬制(277条)

簡易裁判所では、当事者が口頭弁論の続行期日(=2回目以降の口頭弁論期日)に欠席していても、準備書面等を提出していれば、陳述をしたとみなすことができます。

陳述の擬制は、地方裁判所以上の手続きでは、初回の口頭弁論期日のみ認められます。

 

・尋問等に代わる書面の提出(278条)

簡易裁判所では、証人のみでなく、当事者も尋問に代わる書面の提出を行うことができます。地方裁判所以上では、尋問に代わる書面の提出が認められるのは証人のみです。

 

・司法委員(279条)

司法委員が関わる民事事件は、簡易裁判所で行われる裁判のみです。

裁判所が必要と認める場合は、和解の試みについて司法委員に補助をさせたり、司法委員を審理に立ち会わせて意見を聴いたりすることができます。

司法委員は主に民間人から選任されますが、裁判員と違って弁護士や司法書士も司法委員になることができます。裁判に関わる司法委員の意見は、参考に留まるものであり、裁判所を拘束しません。

 

・判決書の記載事項(280条)

簡易裁判所が作成する判決書には、請求の趣旨及び原因、その原因の有無並びに請求を排斥する理由である抗弁の要旨を記載すれば足ります。

地方裁判所以上では、主文や当事者の主張等が記載されますが、簡易裁判所では、より簡易な内容で判決が下されることになります。