民事訴訟法 裁判によらない訴訟の完結 その1

民事訴訟法261条~ 訴えの取下げ

 

・訴えの取下げ(261条)

訴えは、判決が確定するまでの間であれば、その全部又は一部を取り下げることができます。判決が言い渡された後であったとしても、確定さえしていなければ、訴えは取り下げることができます。(判決の言渡し時点では、まだ判決は確定していないため。)

ただし、訴えを取り下げるにあたり、相手方の同意を得なければ、取り下げられない場合があります。

①相手方が準備書面を提出したとき。

②相手方が弁論準備手続きにて申述したとき。

③相手方が口頭弁論をしたとき。

つまり、相手方が何らかの形で反論した後は、相手方の同意が必要となります。

そのため、相手方が口頭弁論の期日に出頭した場合であっても、答弁書やその他書類を提出せず、弁論もしないで退出したときには、相手方の同意なく取り下げることができると解釈できます。(相手方は何もしていないため。)

 

訴えの取下げは、原則書面で行います。

ただし、口頭弁論、弁論準備手続き、和解の期日においては、口頭で取り下げることができます。この場合、口頭弁論等の期日に、相手方が出頭しているかどうかは無関係です。

 

判例(261条)

裁判外で訴えの取下げの合意が成立した場合は、権利保護の利益を喪失したものとして、訴えを却下すべきとされています。(最判昭和44.10.17)

 

・訴えの取下げの効果(262条)

訴えを取り下げた場合、訴えが取り下げられた部分は初めから係属していなかったものとみなされます。つまり、控訴審で訴えを取り下げた場合、第一審も取り下げられることになり、効力を失います。

終局判決の後に訴えを取り下げた場合、原告は再度同一の訴えを提起することはできません。すなわち、終局判決前に訴えを取り下げた場合は、再度同一の訴えを提起することができます。また、訴えを却下する判決の後に訴えを取り下げた場合も、終局判決が確定したわけではないため、再度同一の訴えを提起することができます。

 

・訴えの取下げの擬制(263条)

訴えの取下げを申し出ない場合でも、訴えを取り下げたものと擬制される場合があります。

①当事者双方が口頭弁論、弁論準備手続きに出頭しない、又は弁論若しくは弁論準備手続きにおける申述をせずに退廷、退席した場合であって、1か月以内に期日指定の申立てをしない場合。

②当事者双方が連続して2回、口頭弁論、弁論準備準備手続きに出頭しない、又は弁論若しくは弁論準備手続きにおける申述をせずに退廷、退席した場合。

双方が争う姿勢を見せないで、1か月以内に再度期日指定を申し立てない場合又は2回連続争う姿勢を見せない場合という感じでしょうか。