民事訴訟法 証拠 その10

民事訴訟法234条~ 証拠保全

 

・証拠保全(234条)

裁判所は、あらかじめ証拠調べをしなければ、その証拠を使用することが困難な場合は、原則申立てにより証拠調べをすることができます。つまり、早くしなければ、証拠が証拠とならない場合に証拠保全ができるということです。具体的には、証人が死にかけている、書証が捏造される恐れがある、時間経過により証拠物の性質が変化する等の状況が考えられます。

証拠保全は、訴えの提起前、提起後どちらでも行うことができます。

また、証拠保全の決定に対しては、不服を申し立てることができません。(238条)

 

・管轄裁判所等(235条)

訴えの提起後に証拠保全の申立てをする場合は、管轄裁判所に対して行います。すでに裁判の手続きが始まっている場合は、受訴裁判所に対して行います。

訴えの提起前に証拠保全の申立てをする場合は、証拠方法の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に対して行います。

急迫の事情がある場合は、訴えを提起した後であったとしても、証拠方法の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に対して証拠保全の申立てを行うことができます。

 

・相手方の指定ができない場合の取り扱い(236条)

訴えの提起前に証拠保全の申立てをする場合、相手方がまだ決定していないことがあります。このような場合、証拠保全の申立てを受けた裁判所は、まだ決定していない相手方のために特別代理人を選任することができます。

 

・職権による証拠保全(237条)

訴訟の係属中に限り、裁判所が必要と認めた場合、職権で証拠保全を行うことができます。

 

・期日の呼出し(240条)

裁判所は、証拠保全手続きによる証拠調べの期日には、申立人及び相手方を呼び出さなければなりません。ただし、急速を要する場合に限り、呼び出しをせずに証拠調べを行うことができます。

 

・口頭弁論における再尋問(242条)

証拠保全手続きによる証人尋問を行った証人に対し、当事者が改めて口頭弁論での証人尋問の申出があった場合は、裁判所はその尋問をしなければなりません。