民事訴訟法 判決 その5

民事訴訟法256条~ 判決の変更

 

・変更の判決(256条)

裁判所は、一度言い渡した判決に法令違反等を発見した場合は、言渡しの1週間以内に限り、変更の判決をすることができます。ただし、判決が確定した場合又は変更の判決のためにさらに弁論が必要な場合は、変更の判決はできません。(変更の判決は、口頭弁論を経ないで行うためです。)

 

・更正決定(257条)

判決に計算違い、誤記その他明白な誤りがあるときは、裁判所は申立て又は職権で、いつでも更正決定をすることができます。

更正決定に対しては、即時抗告ができます。ただし、判決に対し適法な控訴があった場合は、即時抗告はできません。

 

・裁判の脱漏(258条)

裁判所が請求の一部について裁判をし忘れたとき又は怠ったとき(=脱漏したとき)は、請求の一部について、なおその裁判所で係属します。

 

・仮執行の宣言(259条)

財産上の請求に関する判決では、裁判所は、必要があると認めるときは申立て又は職権で仮執行ができることを宣言をすることができます。

財産権を請求する裁判の場合、原告の勝訴判決が出ても、被告は控訴・上告が可能であるため、いつまでたっても原告に財産権が帰属しない可能性があります。そこで仮執行の宣言をすることで、原告は強制執行(=強制的に財産権を原告に帰属させること)ができるようになります。

なお、敗訴した被告側は担保を立てることで、仮執行の宣言を免れることが可能です。

仮執行の宣言は、財産権を争う判決に限定されるため、身分関係(養子縁組、離婚訴訟など)や意思表示(登記を請求する裁判など)に関する判決では、行うことができません。これは、身分や権利関係が不安定になることを防ぐためです。

また、手形や小切手債権に関する裁判では、必ず仮執行の宣言が付されます。

 

・仮執行の宣言の失効及び原状回復等(260条)

仮執行の宣言は、その宣言又は判決の変更を行う判決の言渡しにより、変更の限度を上限にその効力を失います。効力を失った場合は、原告は原状回復を行わなければなりません。強制執行にて、原告が得たものは被告に返却しなければなりませんし、被告が担保を立てた場合は、担保も返却します。