民事訴訟法 判決 その2

民事訴訟法246条~ 判決

 

・判決事項(246条)

裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることはできません。

シンプルな条文ですが、原告の意思を尊重すること、当事者が意図しない訴訟範囲の拡大を防止すること、裁判所が集中審理を行うこと、を明確にしていると言えます。

 

判例(246条)

境界確定の訴えに対して、裁判所は、当事者の主張に寄らず裁判所自らの判断にて、境界を定めることができます。(大判大正12.6.2)

留置権や同時履行などの抗弁権は、裁判上でその権利が認められたとしても、権利者(抗弁権を持つ人)が行使を主張しない限り、裁判所がこれを斟酌(しんしゃく=事情をくんであげること)することはできません。(最判昭和27.11.27)

裁判所は、当事者による「公序良俗に反して無効である」との主張がなくとも、公序良俗に反する事実があれば、無効と判断することが可能です。(最判昭和36.4.27)

一定額以上の債務が存在しないことの確認を求める貸金債務の不存在確認訴訟において、一定額以上の債務が存在することが明らかになった場合は、ただ単に請求を棄却するのではなく、残債額を明確にするべきとされています。(最判昭和40.9.17)

所有権に基づき土地の明渡請求を行った原告が、被告に対して当該土地の使用を許可した事実を陳述し、裁判所が認めた場合、被告が当該事実(=原告に不利な事実)の援用を行わなかったとしても、裁判所は、当該事実を判決の基礎とすることができます。(最判昭和41.9.8)

債権者の責めに帰す事由(=過失)によって債務不履行が生じた場合(民法418条)の過失相殺は、債務者がそれを主張しなくとも、裁判所が職権で認定することができます。ただし、債権者に過失があった事実は、債務者が立証しなければなりません。(最判昭和43.12.24)

賃貸借契約の終了による建物明渡請求において、賃貸人である原告が立退料と引き換えに建物明渡を請求した場合、裁判所は、原告が主張する立退料の金額を超えた立退料と引き換えに明渡しを命ずる判決をすることができます。(最判昭和46.11.25)